Yuki:「愛すべき肉塊」-2
そう、これでいい。今日は瑠奈との体のやりとりは一切無しだ。
そうすればきっと、俺がこれからすることもすんなり受け入れてくれるかもしれない。
瑠奈の指定してきた日にちに俺も合わせ、予定は決まった。
「じゃあ、またね。」
我慢だ、我慢。
瑠奈と更に過激なことをしたいのであれば、回り道をしてでも、そこの領域にたどり着きたい。
俺という人間は、何も瑠奈という女をただの肉の塊として接してるわけではない。
陽が、愛すべき彼女ならば、瑠奈は愛すべき肉塊だ。
数日が過ぎ、買い物に行くと約束した日の当日になった。
授業が早めに終わって、瑠奈がいるB組の教室へと向かう。
B組の教室の扉は、空いていた。
普段この教室にこない俺が、瑠奈と話しているところを見られたら、どう思うのだろう。
教室には、瑠奈が窓際の席に座っていた。
「やぁ。瑠奈ちゃん。」
瑠奈も、「勇樹くん。」と言って俺の存在に気が付く。
とりあえず、瑠奈の前の席の生徒の椅子に勝手に座らせてもらった。
「で、今日の買い物ってなに?」
「瑠奈ちゃんに、買ってあげたいものがあるんだ。」
瑠奈に下着を買ってあげる、という言葉を発する前に、瑠奈と下着を買いに行ってる自分を想像して、俺のペニスは少しずつ硬くなっていく。
「え?私に…?何を買ってくれるの?」
と瑠奈は机の上に伏せて上目遣いで俺を見る。
そんな瑠奈の姿は、陽には劣るものの、可愛いと思ってしまう。
キューティクルのある、ボブは似合っていて、目はそこまで大きくはないが、このおっとりした感じは、話しててリラックスしてしまう。
瑠奈の全ての仕草や、表情が色っぽく見えてしまう。
「瑠奈ちゃんに…下着、プレゼントしようと思ってさ。」
瑠奈の露出している肌という肌を見つめる。
目、鼻、キスをしたい唇、耳、首筋、腕、手首。
全てがいやらしく思える。
そして、瑠奈の体の一番いやらしい部分は、この制服の奥に隠されている。
俺はその、いやらしい部分をこの子に気付いて欲しかった。
自分の体がエロすぎて、俺を夢中にさせているということを瑠奈という女は自覚するべきだと思った。
「え…下着?どんなの買うつもりなの…?」
瑠奈は、俺が変な下着を買ってくるのか、と不安そうな表情で俺を見た。
「いや、瑠奈ちゃんの下着さ、黒、ピンク、白とかが多いじゃん?もっと瑠奈ちゃんに似合う可愛い下着とか一緒に探しに行こうと思ってさ。」
今日の制服のシャツから透けて見えるブラジャーの紐の色も、白だった。
「ホント、別にエッチな下着とかじゃなくて、本当に瑠奈ちゃんが気に入ったやつを選んでくれればいいからさ…。でも、俺から瑠奈ちゃんにあげたい下着もあるんだけど…どうかな?」
瑠奈の表情から、疑いの感情が少しずつ抜けて行くような気がした。
「胸が大きいと、ブラの色の種類も限られてくるし、何よりお店で売ってないことの方が多いんだよ?」
「大丈夫、そこは知ってるから。その上で、お店もちゃんと調べてあるよ。」
俺は昨日寝る前に調べてブックマークしておいたランジェリーショップのホームページを瑠奈に見せた。
瑠奈の二つ返事で、俺たちはすぐに現地へと向かった。
店内に入ると、
「うわぁ〜すごいたくさんあるね!」
無邪気な子供のように目を輝かせている瑠奈がいた。
「ていうか、勇樹くん普通にこういう店の中入って気まずくならないの?」
正直、以前陽に無理矢理連れて来られた時などもあって、確かに気まずいとは思ったが、それで耐性がついたのだろうか。
あるいは、真剣に瑠奈に似合う下着を探そうと躍起になっているのか、気まずいとかそういう話は大した問題ではなかった。
「別に平気かな、なんていうか今日は、瑠奈ちゃんに似合う下着がないか俺も真剣に探すつもりだから。」
「そんなこと、真面目な顔で言われると少し恥ずかしくなるじゃん…。」
瑠奈は少しだけ、恥ずかしそうにして再び店内に視線を戻す。
「まずは、ちゃんと店員さんにサイズを計ってもらえばいいんじゃないかな?」
そう言って、俺と瑠奈は近くにいた店員に声をかけてみる。
瑠奈と店員が何かを話していて、「かしこまりました。」と店員は笑顔で瑠奈を試着室へと招いた。
どうやらサイズに合ったものを見つけるため、瑠奈の胸のサイズを測っているようだ。
俺は、それを聞いてあの保健室での瑠奈の胸をメジャーで測った時のことを思い出して、ペニスが勃起してしまう。
この現状で、これはまずい。
瑠奈は試着室の中で、俺は女性用下着専門店の試着室の前で一人取り残されている男で、尚且つペニスが勃起しているなんてことがばれたら…。