Runa:「優しさの呪い」-1
帰り道、私は勇樹に真っ直ぐ家に帰るように見せかけて、彼と初めて会った公園のあの場所へと向かった。
いつもよりも、足が軽く感じる。
勇樹に身体を好き放題弄られて、そうなったのか、それとも今日の事を我慢しているから、足早になっているのか。
恐らくは後者だと思う。
柵を越えて、ベンチに誰も居ないことを確認し、この場所を囲んでいる柵の周りを一周して、辺りをまめに確認する。
誰も居ないことは明らかだった。勇樹にもつけられていない。
辺りはちょうど薄暗くなってきた頃だった。
いつもなら、制服の上から胸を触って徐々に私の性器を濡らしていくところだが、生憎、あいつのせいで私の性器は今も湿っている。
抑えきれなくなった性欲が爆発するかのように、私は自分の身に着けている服を全部脱いで、ベンチに横になった。
ちょっと前に勇樹にされたことを思い出していく。
メジャーで乳首を押しつぶすかのようにわざとらしく計測されてしまった私の胸。
「可愛いブラしているんだね。」「柔らかいし、指が食い込むよ。」「濡れてるのが丸わかりだね。」
勇樹の言葉が次々に頭の中でフラッシュバックする。
彼の私をいやらしい女みたいに見ている意地の悪そうな笑顔。
今でも勇樹が胸を触っていて、私の中に中指を入れていたあの感触が鮮明に残っている。
それを重ねるように私は左手で強く、痛いくらいに胸を揉んで、下半身に手を伸ばす。
あんだけ濡れたはずなのに、今でも乾いてくれない体のこの部分のいやらしさに嫌気が刺してしまいそうだった。
「あはっ…あぁんっ!」
私の濡れすぎた性器の中に自分の中指は驚くほど簡単に吸い込まれていく。
恥ずかしすぎて、惨めな気分に散々されたのに。
私の体は…それを悦んで受け入れてしまっている。
「あっ…あっ…んっ!」
私しか居ないこの空間で聞こえるのは、遠くの方で鳴っている救急車か消防車か分からないが、サイレンの音と、風で気が揺れる音と、自分の喘ぎ声。
そして、自分のいやらしいところから滲み出る液体をかき乱す音だけが響いている。
「んっ!んんーっ!」
彼はどうして私の体をあんなに辱めたいのか、よく理解ができない。
でも私は、それを100%拒む事が出来ないのは事実。
「あっっ!!」
体全身がベンチから落ちたのではないかと思う程の衝撃で痙攣し、視線は空に向いていたが、快感と比例して、私は舌を出してしまっていた。
自分でも驚くほどの速さでイッてしまったのと同時に、こんな顔を勇樹に見られたら、彼は益々喜ぶに違いないと思った。
「(私…、勇樹くんが悦びそうなことをいつの間にか理解している?)」
なんだか、私がいやらしい気持ちになればなるほど、彼の思考に近づいているというか、彼の思考を理解してしまえる自分が腹立たしくも感じた。
中を掻きまわした自分の手の中指がべっとりとした液体で濡れて光っているのをまじまじと思わず眺めてしまう。
勇樹は、自分が快楽を求めるよりも、私が感じている姿を見ることに味を占めている、と思える。
そう考えると、自分を犠牲にして私を気持ち良くしようと徹する彼は、世間から見れば紳士に見えたりして。
私の頭の中で勇樹が言っていた一言を一字一句漏らさず、思い出してみる。
彼がよく私に対して口にする、「ありがとう」という言葉が、私が彼を100%拒むことのできない優しさという名の呪いなんだと、思う。
だから、彼を完全に憎めなくて、私はそれからまた、すぐにオナニーを始めてしまった。
今日はもう、思う存分淫れてしまいたい。勇樹に見られていない分、存分にと、
夜の良い時間まで、全裸でだらしなくオナニーを続けてしまった。