Yuki:「知りたいこと」-6
「だ、大丈夫です…。薬飲んで良くなったので、もうすぐ帰ります…。」
瑠奈は如何にも体調が悪そうな感じの口調で先生に答えた。
「そっか…。私、会議の途中で書類を取りにここに戻ってきただけだから、あんまり見ててあげられないの。とりあえず…お大事にね。」
「はい…。」
先生は瑠奈のベッドまでは行かず、近くで引き返した。
「じゃあ、勇樹くん、瑠奈さんに鍵渡して、帰る時に閉めるように言っといてね。」
「はーい。」
そういうと、本当に机の中に入っていた書類を取り出して、先生は保健室からいなくなった。
やばかった。瑠奈が何かを言ってくれなけば、恐らくばれていた。
俺の心臓は、自分でも聞こえるほどバクバクと鳴っている。
俺は先生がいなくなったのを確認して、鍵を閉めて、瑠奈のいる部屋へと戻る。
「瑠奈ちゃん、大丈夫?」
布団を剥ぐと、裸のまま蹲っている瑠奈の姿があった。
「見ないでよ…。」
シーツの足元を見ると、クスコで注いだジュースの残りと思わしきものが、染みになっている。
「ありがとね、具合悪いフリしてくれて。」
俺はそう言って瑠奈の髪を撫でる。
「今日は…ホントに死ぬほど恥ずかしかったから、仕返しにチクってやろうって思ったんだけど…。」
瑠奈はそう言って一呼吸置いて、
「勇樹くんは、手紙の約束ちゃんと守ってくれたから、そこは信用できると思って、勇樹くんの言われた通りにしたら、今だってばれなかった。ちゃんと考えてくれてるんだなって思ったから、見逃してあげただけ。」
「じゃあ、これからもセックス以外のことは何やってもいいって許してくれるんだね?」
俺がそういうと、瑠奈は声を荒げて、
「そんなことは一言も言ってないでしょ!私だって、怖いんだよ?それに、今日の勇樹くんはちょっと強引過ぎて怖かった。」
「ごめんね。今度はもう少し優しくするから。」
俺はそう言って横になっている瑠奈の隣に横たわる。
「そうじゃなくて…。あ。さっき私にキスしたでしょ。あれ、もダメじゃない?」
俺はさっき口に含んだ飲み物を口移しにしようとした時のことを思い出す。
「あっ…。やべ…セックスしてないとは言え、あれもダメなのかな…。」
キスとか全然考えていなかったけど、陽にばれたら浮気って思われても言い訳のしようがないな、と考えた。
「私もさ…。」
瑠奈が口を開いたので、思考止めて、耳を傾ける。
「ん?」
「私も、勇樹くんと同じだよ。あれから、シてるよ…、あの時勇樹くんが我慢できなかった時の妄想をしながら…。」
先生が来たことによって萎えていた、俺のペニスはその一言で大きくなった。
「そんなこと言われたら、俺我慢できなくなりそうだし、今もめっちゃ勃ってるけど…」
それでも、陽以外の女の人とセックスすることは考えられなくて、
「もしも、もしもだよ?瑠奈ちゃんから、俺を誘ってきても、俺は約束を絶対守るよ。」
と付け加えた。
「そんなこと、きっとないと思うけど、勇樹くんの言ってることなら…信じてもいいかな。」
と瑠奈は言った。
「体、よく洗ってね。特にこことか、ジュース残ってるから。」
と俺は瑠奈の膣のところに手を触れる。
「言われなくても分かってます。」
と瑠奈は俺の手を冷静に振り払った。
今回は、お互い別にイッたりもせず、気持ちいい思いはどちらもしてたわけではなかったので、俺は帰ってから、今日の事を思い出して何度も何度も、ペニスをしごいた。
瑠奈は今日のことで、オナニーをするのか、と聞いてみたかったが、
今日の出来事がもし、つまんなくて退屈だったなんて批判されると心が折れそうだったので、聞かないでおいた。
「知りたいこと」終わり。