Runa:「かもしれない」-1
誰宛かも分からない手紙の指示に従うんじゃなかった。
恥ずかしさのせいなのか、ブラジャーのホックを上手く締められない。
久しぶりに会えると思ったのに。
そんな淡い期待を込めて、この場所にきて、オナニーして…それから…。
久しぶりに好きな人に会えると思うと、ドキドキして興奮してしまう。
だからオナニーをしてどうにか気持ちを抑えようと思ってたのに。
「ねぇ、ブラのホック止めるの下手。俺が止めてあげる。」
頭の中で一生懸命この状況を整理していた時にふと勇樹と言う男子の声で我に返った。
「えっ…ちょっと!」
私が止めるよりも先に勇樹という男子の手はホックに伸びていた。
そして、私が付けるよりもずっと早く、手慣れた手付きでホックをつけた。
きっと彼女とのセックスでブラのホックを外すことなんて慣れているんだろう。
憎たらしいとさえ感じた。
「…ありがとうございます」
って…そうじゃなくて、早くここから帰らないと。
何この人にブラジャーのホックを止めてもらったくらいでお礼なんて言っちゃっているのだろう、私は。
誕生日プレゼントが、私の体を滅茶苦茶にする男の子だなんて。
生きてきて、こんなに最悪なプレゼントをもらったのは、初めてだと、手紙の差出人に呆れてしまった。
「じゃあ…」
私は必要最低限の挨拶だけ勇樹にして、その場を立ち去ろうとした。
「ちょっと待って。」
そんな行動はむなしく、勇樹に腕を掴まれて、ベンチにまた座らされる。
「なんですか…。」
勇樹は私の表情を見て楽しんでいるのか、口元が緩んでいる。
「見せてよ。」
「えっ…?」
「瑠奈ちゃんのオナニー。途中で終わって悶々としてるなら、イクとこまで俺に見せて。」
知り合ったばかりの人に裸を見られただけで、これだけ恥ずかしいと思っているのに、人の気も知らずに、私のイクところをみたいだなんて言い出すこいつは、本当に無神経なヤツだな、と思った。
「嫌。私帰るから。」
きっぱり断って帰ろうと立ち上がろうとすると、私の正面に勇樹が立って、私の肩を押さえながら、ベンチに身体を止まらせる。
「瑠奈ちゃんそれはないよ…。俺、あんなの見せられたら生殺しもいいところだよ。それに…」
勇樹は私の体を上から下まで舐めまわすようにいやらしい視線で舐めまわした後、
「瑠奈ちゃんが気持ち良さそうにしてるとこ、俺見たいし。」
と言い放った。
「彼氏でもないのに、どうしてそんなとこ見せなくちゃいけないの?」
そういうと、
「瑠奈ちゃんは俺の誕生日プレゼントだから。瑠奈ちゃんの誕生日プレゼントは俺。お互い仲良くしようよ。乱暴なことはしないって約束するし。瑠奈ちゃんが気持ち良さそうにしてくれたら、俺も気持ちいいよ。」
もう我慢の限界だ。
「ホントもう離して。警察呼ぶよ。」
さすがにこれで諦めてくれると思った。勇樹は私の正面に立つのをやめて、私の隣に腰をかける。
「それは嫌だな…。瑠奈ちゃんの機嫌損ねちゃったかな。」
勇樹は、そういうと私の手を握り始めた。
もう何を言っても無駄だと思い、今度こそ帰ろうとした。
「こんな雰囲気じゃ、気分乗らないよね。俺が悪かったよ。とりあえず、話そうか。お誕生日おめでとう瑠奈ちゃん。」
勇樹は私に満面の笑顔でそう言った。