【眠れぬ夜を抱いて】(コバ×ミキ)-4
「美木さん・・・美木さん・・・愛してます・・・もう、あなたしかいない・・・貴女の為なら俺は命を賭けられる」
真摯な小林の視線を潤んだ瞳で見詰め返して美木は不器用なほど一途な愛を向けてくれるこの人と今1つになれたことが喩えようの無い幸福な事なのだと感じた
不確かだった愛にカタチをつけて確かめあうことが出来たのだ
身体を引き裂くような痛みも愛しく思えるほどに・・・
痛みを伴う行為の先には今まで見えなかったモノも、聞こえなかったモノもきっと判るようになる
「あっ・・・小林・・・くん・・・」
美木の顔が苦痛に耐え、眉をひそめたのを見て取って不慣れな行為で思いのほか彼女を傷付けてしまったのだと小林は悟った
「あの・・・痛いですか?」
腕の中で痛みに震える彼女を気遣っていた
「ええ、でも、大丈夫です・・・だってこんなにも幸せな気持ちになれたんですもの」
「美木さん・・・俺も幸せです・・・貴女を愛せて」
夜空の星を閉じ込めたような黒く輝く瞳
その瞳から流れ星のようにこぼれ落ちた雫を唇で拭って小林は美木を抱きしめた
「誓います、この命燃え尽きるときまで、けっしてあなたの傍を離れないと」
「はい・・・ずっといっしょにいてください」
美木の小林の背に廻された手に力が入った
「きつかったら、言ってください」
そろりと小林は動き始めた、
深く絡みつくような口付けを繰り返しながら
徐々に動きを早めていく
今まで感じたことの無い激しい快感に小林の理性は脆く崩れていった
擦れ合う肌の熱さに思考するより、お互いを求め合う感情だけとなって燃え上がる
血を流す痛みよりも、最愛のものを受け入れた喜び
この快楽に重なり合った部分は溶けていくようにひとつになった
「・・・美木さん!」
「ああっ・・・」
美木の中で小林は熱く爆ぜて、白く濁った液体を吐き出した
小林は息を整えて我に返った
腕の中で弛緩している美木に口付けして、そっと抱きしめていた
「・・・美木さん・・・そのスイマセン、中に出してしまって」
「いいの・・・私もそうして欲しかったから・・・」
「ちゃんと責任取りますから・・・もし、子供が出来たら・・・結婚してくださいね」
「もう・・・バカな人ね」
愛とおしそうに美木の手が小林の頬を撫でた
そうする美木の顔には涙ではなく穏やかな微笑が浮かんでいた
それは小林が初めて見た
この世界で最も美しいものだった
【眠れぬ夜を抱いて】(コバ×ミキ) 了