おかえりなさい-5
辺りは暗闇に包まれ、凍り付くような肌寒さを感じる。
「バッカじゃないの、あんなヘラヘラしてぇー。」
「おいおいー、戻って来ていきなりそういう口かいー。」
「本当にそれで、腕が上達した訳ー?」
「勿論だともー、地獄のような血の滲む訓練を受けてさぁー。」
「ふーん、でも安心なさい、アンタが死ぬより辛い目に遭っている間、私達はのんびりと
極楽な学園生活を満喫していましたからぁ。」
「うわぁー、ずるいなぁー。」
「細々と貴方の帰りを待っておりました。」
「……。」
そう、私は普通に恋人の帰りを待っていた、それだけ。
「んじゃ、寒いから中に入るべ……っ!?」
戻ろうとしたその時、行き成り背後から包み込むように暖かく抱き締められる。
「れ、蓮っ!」
「ゴメン、気付いてあげられなくて。」
「……。」
あたるから全て事情を聞いた十和田君から聞いた蓮。私は優しくその手を振り解き。
「…良いよ、悪いのは全部私だし。」
「いや、悪いのは全部僕だ、君がそういう行動をする羽目になったのは元はと言えば僕が
合宿何かに行ったから、君の本当の気持ちに気付いてあげられなかったから…。」
…今回の件は結局の所、皆に責任がある訳だ。
寂しいからってそれを素直に言わず挙句人の恋人を取り上げた私。
私にそういう行為を行うよう背中を押したあの幼馴染。
私の気持ちに気づけなかった、若葉とあたる。
そして私があぁいう事をする原因を作った蓮。
「…まぁ、確かに正直言えば、バスで合宿に向かった時、胸が引き裂かれそうな思いは…
あったかな。」
「巴…。」
「良いではないか、何はともあれ皆仲直りしたんだからさ。」
「バス…。」
「さぁいくべ!本当に風邪引きそうなんで。」
「……。」
今度こそ店を戻ろうとする、すると今度は腕を引っ張り一気に顔を近づけそのまま口づけ
をする。
「!!」
「あのバスでのキスが行ってきますなら、これはおかえりなさい…だね。」
「……蓮。」
「あんな事になるくらいだったら電話をくれれば良かったのに。」
「でも、それじゃー。」
「確かに君の言いたい事も分かる、邪魔したくなかったんだもんね」
「……。」
「けど、それでも電話をよこしても良いんだよ…いや、して欲しかった。」
「え?」
「…君の、その口やかましい声を聞いたら…気合を入れ直せたかもしれないしね。」
「……ぷっ、そんな事言ってぇ、なら夜中にでも電話するしかないようだね。」
「おや、それは勘弁。」
「ふふっ、電話してって言ったのそっちでしょうがっ!」
そっかぁー、私は何だか妙な意地を張っていたのかもしれない。
「巴、ただいま。」
「……うんっ!おかえり、蓮っ!」
こうして私達は再びよりを戻す事が出来た。良いわ、だったらこれからもビシバシ行くんだから、覚悟なさいよねっ!!
第16話に続く。