響子の決意-3
「取りあえず、お風呂に入ってくれる。あたしはお布団の準備しとくから」
春奈が和室に駆け込んだときには、まだ布団はバルコニーに干したままだった。
今は取り込んでダイニングキッチンの隅に畳んで置いていた。
もし、布団を和室の押し入れに仕舞った後だったら、それを出すのに1拍の猶予を与えてしまい、春奈に逃げる時間を与えてしまう。
しかし、ここにある敷き布団を、たった一枚を和室に持って入れば直ぐにセックスはできるのだ。とにかく、成功の鍵は乱入して直ぐに始めることだ。
「本当にやるのか?」
「サユリちゃん」
躊躇する拓哉に響子は呪文を唱えた。
「わ、わかったよ。ところで飯は?オレは腹が減ったよ」
「そんなの後よ。あたしをたっぷり満足させてくれたら、お腹一杯に食べさせてあげるわ」
「何だか食べる前から胸焼けがしそうだよ…」
これからのことを考えると、拓哉は気が重くなってきた。
「なんですって!」
「何でもないありません。風呂に入ってきます」
「とっとと行け!」
響子の剣幕に押された拓哉は、風呂に逃げ込んだが、春奈の前でセックスすることの決心がまだつかなかった。
風呂に浸かりながら拓哉が考えたのは、とにかく『春奈の前では勃起しないでおこう』ということだった。
勃起しなければセックスをしなくて済む。
(1度抜いてしまえばいいんだ)
答えは簡単に出た。拓哉はこの後で起ちが悪くなるように、自身の肉棒をシコシコと扱き始めた。
すると突然浴室の扉が開いて、響子が顔を覗かせた。
ドキッとした拓哉は、扱いていた肉棒から手を離した。
「まさか一人エッチで無駄打ちなんて考えてないわよね」
「ま、まさか…」
「じゃあ、どうして起ってるのよ」
「そ、それは響子と早くしたいからに決まってるじゃないか」
「ホントかしら」
取り繕くろう拓哉を、響子は猜疑心の目でジッと見つめた。
「ホントだって」
「まあいいわ。とにかく、上がるまでここで見てるから、早くそれを洗いなさいよ」
全てお見通しだった響子は、勃起した肉棒を指差して言った。
拓哉が洗い終わると、響子は用意してたバスタオルで拓哉の体を甲斐甲斐しく拭った。
「サービスよ」
拓哉の体を拭い終わった響子は、拓哉の前に中腰になると、半分萎えかけた肉棒を口に含んだ。
そんな響子は既にネグリジェに着替えていた。この後の行為は速攻が決め手になるため、勿論、下着は穿いていなかった。
「んぐぐ…」
狭い間取りだ。声を潜めていたが、和室に居る春奈にも、妖しげな雰囲気は伝わったもしれなかったが、響子はそれでもよかった。どうせこの後で全部見せるのだから。
拓哉のイチモツが復活すると、響子は目で拓哉を促した。
「このままでか?」
ギョッとした拓哉は、驚きで見開いた目を響子に向けた。
「サユリちゃん」
「わかったよ。せめてバスタオルを巻かせてくれよ」
拓哉は勃起が目立たないように、肉棒を腹に付けてそれが隠れるように巻き付けた。