2人のそれぞれの衝撃-5
ショックの余り、しばらく落ち込んでいた響子だったが、時間が立つにつれて段々腹が立ってきた。
何故なら名刺が出てたスーツは、3日前、拓哉が残業と言って11時ごろに帰ってきた時に着ていたと気づいたからだ。
その日、春奈が体育の授業で疲れたと言って、グッスリ眠り込んでいたから、拓哉が帰宅すると、響子はそれを伝えてモーション掛けていた。
しかし、「悪い、今日は少し疲れてるんだ」と言って、拓哉は拒否していたのだ。
それを思い出した響子は、またもやワナワナと震えだした。
「赦せない、自分だけ楽しんでたなんて…」
その日は拓哉の寝顔を見ながら、中々寝付けなかったことを思い出した。
昨日もそうだ。拓哉だけ響子の口の中に出してスッキリして眠ったが、響子は悶々として眠れなかったのだ。
浮気そのものよりも、自分だけ満足していないことにことに憤りを覚えた。午前中、オナニーで不満を解消していた響子だったが、それまで以上の不満が急激に膨らんできた。
「あ゛〜〜〜、変になりそうだわ!」
そう吐き出した途端、タイミングを計ったように春奈の帰宅を知らせる呼び鈴が鳴った。
「ふう!」
一旦、荒れた心を静めた響子は、いつものように玄関先で春奈を出迎えたが、その春奈の顔が少し沈んでいるように見えた。
「お帰り。どうしたの?」
拓哉の浮気も気になるが、それよりも今は娘の沈んだ様子が気になった。今さらだったが、今朝の春奈の様子も、少しおかしかったことを思い出した。昨日は夜に起こしてしまったので、今朝はただ眠たいだけだと思っていて、余り気にしていなかった。
「何かあったの?」
玄関先に立ったまま、しばらく上目遣いで響子を見ていた春奈だったが、響子の更なる問いかけに重い口を開いた。
「お母さん、昨日、お父さんとエッチなことしてたんでしょ」
お父さん子で拓哉のことが大好きな春奈は、普段から拓哉と響子がイチャイチャする姿を見るのを嫌がる節があった。
「な、何よ藪から棒に」
そう言った響子だったが、いきなりの指摘にドキリとしていた。そんな響子の様子を探るように春奈の視線が更に強くなった。
「答えてよ!」
「ど、どうしてそんなこと聞くのよ」
春奈の視線に堪えれずに、響子の口調がしどろもどろになっていた。
「さやかちゃんに、昨日のマッサージの話をしたら、『それはエッチしてるに決まってるじゃない』って」
さやかちゃんは春奈のクラスのムードメーカーだったが、少しマセた言動と雰囲気がママ友間でも話題になっていた。しかし今はそれはいい。
「何言ってるのよ。昨日は本当にマッサージしてもらってたのよ」
娘に向かって夫婦の秘め事など言えるわけはなかった。
「うそばっかり」
「うそじゃないわよ、変なこと言わないでよ」
響子がわざと憮然としながら答えたが、次の春奈の一言で絶句してしまった。
「へー、じゃあ、お父さんのオチンチンを舐めることもマッサージなんだ」
「えっ…」
虚を突かれた響子は、一瞬にして血の気の引いてしまい、咄嗟に言葉が出てこなかった。
「あたし、寝たふりしながら見てたんだからね。お母さんがお父さんのオチンチン舐めてるところ。オシッコが出るところを舐めるなんて変態だよ」
胸が膨らみだして、異性を意識し始めた春奈にとっては、それは衝撃的過ぎることだった。