2人のそれぞれの衝撃-2
しかし、引き戸1枚隔てたのみでは大差はなかった。なぜなら響子のアノ時の喘ぎ声が大きかったからだった。行為の初めは枕に顔を埋めて声が漏れないように気をつけていたが、それも長くは続かなかった。興奮した響子は直ぐに枕から顔を離してしまい、結果として、
「んんんああ…、ああううん、ああん、あああ、いい、いい、気持ちいいいよううう、あああん」
こんな感じで喘ぐ声が大きくなっていくのが常だった。絶頂を迎えるときの喘ぎ声は、更に激しさを増していった。
「もっと、声に気を抑えてできないのか?」
行為の後で拓哉が毎回のように呆れ顔で言った。
「だって、ついついでちゃうんだもの…」
響子は、行為の途中で箍が外れてしまい、わけがわからなくなることを伝えて赤面した。
つい最近まで、響子の激しい反応に興奮を覚えていた拓哉だったが、今では反対にそれが気になって興奮するどころではなかった。
そのため、いつしか響子を責める行為がおざなりになり、反面フェラチオの時間を長く求めて、とにかく射精を急ぐようになっていた。更に根本的な問題として、拓哉が響子を求める頻度が、日に日に少なくなっていったのだ。
週4、5回が今では週1回有るか無しか。下手をすると2週間もしないときもあった。こうして響子の不満は溜まっていった。
しかし、安全日ばかりは特別だった。生ですることを好む拓哉は、コンドーム無しで響子を味わえる安全日には必ず求めてくれていた。響子も射精の迸りを直接女体の奥で感じれるこの日を、数日前からソワソワしながら待っていたのだ。
そして昨日は、待ちに待っていた安全日だった。響子はオナニーをしながら昨夜のことを思い返していた。
昨夜、拓哉が帰宅後、響子は春奈に気付かれないように、拓哉に意味深な目配せをの合図を送ると、拓哉はにやにやした目線で応えてきた。響子の期待感は否が応でも高まってきた。
和室に布団を敷き、テレビを観ながら春奈が寝付くのを待った。
春奈が寝付くと案の定、拓哉は手を伸ばして、ネグリジェの上から響子の胸をまさぐり、乳首の先を摘まんできた。
「やあん」
わかってはいたが、その刺激にゾクゾクして声が出てしまった。寝入ったばかりの春奈がピクリと動き、慌てた拓哉が響子の口を塞いだが、乳首への刺激をそのまま続けたままだった。
「むうううっ」
目を見開いた響子は、身を捩ってその刺激から逃れたが、それが拒絶の意味ではないことは、振り向いたときの好色そうな表情を見てもわかった。
2人は阿吽の呼吸で手分けをし、ダイニングキッチンのテーブルを端に寄せて、和室の布団を一組移動させた。
コンドームの用意はいらない。響子が布団の上に横たわると、和室との引き戸を締めた拓哉が覆いかぶさってきた。半開きの響子の唇に唇を重ねてそのまま舌を注し入れた。直ぐに響子の舌がそれを迎え、お互いの唾液を絡めるように激しく舌を吸い合った。
響子はディープキスと乳首の刺激をある程度堪能すると、自分から体を反転させて四つん這いになり、拓哉の顔に向けるように女体を反らして尻を突き上げた。
しばらく前までは拓哉のリードでこの姿勢を取っていたが、回数が少なくなってきた最近では、待ちきれなくなった響子の方から、率先してこの恥ずかしい姿勢を取るようになっていた。