愛=永遠?-2
「だって、そうだろ?結婚すりゃ、ずっといるって訳じゃない。別れるヤツは別れるんだろうし」
「そ、それはそうだけど……」
悲しいが、全ての夫婦がずっと円満に生活していける訳じゃない。出会いと別れは人生に置いて、逃れられない事柄だ。しかも、困った事にいつくるかは全くわからない。だからこそ、人生だけど。
「じゃあ、憲は結婚したくないのか?」
「まさか。出来るなら、してみたいさ。もちろん、白雪が相手で」
今の所、白雪以外の女性を自分の花嫁にする予定はない。故にここははっきり言ったおく。
「……な、なに言い出すんだよ!?」
赤くなった白雪は落ち着こうと湯飲みに残っていたお茶に手を出した。が、さっきの言葉に余程慌てたらしい。
お茶が気管に入ってむせだした。
「あ〜あ〜、慌てるから」
背中をゆっくり摩ってやる。まぁ、ちょっといきなり過ぎたかな。
「………本当に?」
涙目になった白雪がこっちを向く。この涙はお茶のせいか?それとも……。
「本当だ」
冗談であんな事を言う程、俺は馬鹿じゃない。
「でもな、プロポーズじゃないぞ。これはただ言っただけだ」
「……どういう事だよ?」
白雪の顔から喜びが消えて疑念が表れた。
「だって、俺たちはまだ高校生だぜ?これから何があるか、見当すらつかない」
「未来予知なんて、便利な能力ないもんな」
「あぁ。だからな、今から結婚の約束とかは、しない。言うべき時以外では言う事じゃないと、俺は思うんだ」
今、結婚の約束をして、もし明日…俺が死んだら、約束を果たせなくなる。そういう事になったりしたら、嫌だからだ。
世の中に溢れる愛の物語では、高校生のうちから結婚の約束をしたりするけど、俺としてはそういうのは嫌なんだ。
「つまり、予行練習みたいなものか?」
「う〜ん、まぁそんな感じ」
と言っても、ちゃんと『結婚してくれ』とは言ってないが。
「……そうか、じゃあちゃんと言うべき時に言ってもらうからな」
「あぁ、しっかり言ってやる。それまで、楽しみはとって置くんだだな」
「いや、今から楽しみにしておく」
………そうですか。
「アタシだって女だからな。ウエディングドレス着たいし、愛もちゃんと誓って欲しいしな」
「ウエディングドレスは良いとしてさ、永遠の愛を誓うって、信じてない神様にか?」
神様を徹底的に信じてない白雪がこんな事を言い出すとは珍しい。だが、やはり白雪は夢見る乙女になっても白雪だった。
「なに言ってるんだ。いもしない神様に誓っても意味ないだろ。誓うのは相手にだ。結婚する二人がお互いに誓う方がそれらしいだろ」
確かに。それの方が確実だな。神様いるかわかんないし。だったら、確実な方に誓っちゃおう、と言う訳だな。
でも………。
「永遠の愛ってさ、本当にあるのかな?」
ふと、思って口に出てしまった。
永遠って言うのは、終りのないって事だ。でも、そんなものは数字の上と時間の流れぐらいにしか存在しないんじゃないだろうか。
白雪を見てみると、顎に手を当てて考えている。
「ん〜……多分、無いな」
……断言しちゃったよ。
「おいおい、誓うんだろ?」
「普通に考えて、永遠なんてあるわけないじゃないか」
わかってはいるけどさぁ。もっとこう、夢を見ようぜ。
「永遠の愛なんてない。けどな、愛は確かに存在するだろ」
……そうだな。俺と白雪の間には確かに愛は存在してる。俺から白雪へ、そして白雪から俺へ。この二つが存在しているから、俺たちはここにいる。