巴と若葉-1
「これとこれ、あー後これも外せないねっ!」
香ばしい匂いと甘い匂いが鼻に突く、地元パン屋。
「転校して、もう前の街のような小さな店はないのかと思ったら、まさか。」
上機嫌にパンをトングで次々とトレイに運ぶ風馬君。
「ねぇ!若葉ちゃんは何が良い!?」
「……。」
口を開く気もない私、本来なら楽しく過ごすべき何だろうけど…。
「あっ!ドーナツがある、これにしようっか!」
「………。」
先ほどから何でも勝手に進める、まぁ何もしない私もあれだけど。