巴と若葉-2
「はぁー、自然に囲まれて食べるパンは格別だねぇー。」
なすがまま公園のベンチへ腰を下し、パンを口にする彼。
「食べないのー?」
「私は…。」
有無を言わない私に、ドーナツを取り出し、私に差し出す。
「ほらっ!食べなよ。」
「……。」
「好き何でしょ?ほら。」
「やめてっ!」
ドーナツを差し出す彼の手を薙ぎ払う。
「……。」
黙って落ちたドーナツに腕を伸ばし。
「私は君を好きになる事はない!」
「………。」
今度は彼が黙り出し。
「帰るね、……!!」
ベンチから放れようとする私の腕を掴み。
「いやっ!放してっ!」
軽く腕を振ったら解放された…、と言うよりしてくれた。
「……。」
「………。」
開放的で明るい公園、しかしベンチ付近に流れる重い空気。
彼は勢い良くベンチから立ち、私の方へ近づき。
「構わないよ。」
「え?」
「今は僕の事を好きで無くても構わない。」
「……。」
「でも諦めないよ、いつか必ず君が僕を好きになるようにさせるから。」
自分に振り向いてもらう為に、人の恋人をその元カノとくっつけさせ、邪魔者を消し。
そう捨て台詞を言い放ち、不機嫌そうな背中を私に見せ、公園を後にした。