Greenroom talk〜楽屋話-2
「なんでえなんでえ、くそおもしろくもねえ!」
修平はいじけたように言って、カップをテーブルにのせ、カーペットに仰向けにひっくり返った。
コーヒーの入ったカップを健太郎に渡した真雪は、そのまま彼の隣に座った。
健太郎はあきれ顔で言った。
「それにしても、おまえたち、相変わらず激しいな」
「なんで?」
「俺に化けてた龍、マユから一度も抜くことなく、ポジション変えて三回もイってたじゃないか。いつもああなのか?」
床に座っていた龍が顔を上げた。「今日はかなり燃えたね。シチュエーションがなかなか熱い感じだったしね」
真雪がカップを持ち上げて言った。「確かに、さすがに三回も続けてイってくれることは滅多になかったね、龍」
「うん。実際に俺と真雪がエッチするとなっても、繋がったまま三回は難しいね」
床に大の字になったまま修平が言った。「だよな。よくよく考えたらあの流れるようなポジション展開はお互いをよく知った者同士じゃねえとできねえな。確かに。こいつら慣れてんな、やっぱ兄妹だからかねー、なんて思ってた」
「ねえねえ、ケン兄」
「ん? どうした、マユ」
「あたしが龍と結婚する前、実際あんな気持ちになってた?」
「全然」健太郎は即答した。
「何それ」真雪はつまらなそうに横目で健太郎を見た。「愛する妹が嫁ぐ、ってことに切なくなったりしなかったの?」
「だって、相手はいとこの龍だろ? それまでと何も変わらないじゃないか」
「そりゃそうだけど」
「おまえも同時に結婚したじゃねえか、春菜と」寝転がった修平が顔だけ健太郎に向けた。「立場は同じだろ?」
「あたしはちょっとだけ、きゅんとなったよ」真雪が言った。
「何に?」
「ケン兄がお婿にいっちゃうことだよ」
「なんだよ『お婿』って」
「結婚したら、ケン兄の一番近くにいるのは春菜になる、ってことでしょ? 今まで妹のあたしだったから、そういう意味で少し寂しい気がしたよ」
「そ、そうなのか?」健太郎が意外そうな顔をした。
「もちろん春菜に嫉妬してたってわけじゃないけどね」
「真雪はその時ケン兄に抱かれたい、なんて思わなかったの?」龍が訊いた。
「抱かれたい、っていうか、エッチしたいとは思わなかったけど、もし結婚式の朝にケン兄にハグされてキスされてたら、あたし泣いてたかも」
「へえ!」
健太郎が一番過剰に反応した。