兄の切ない想いを-5
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「ごめん……マユ」
下着をつけ直した健太郎と真雪の兄妹は、ソファで抱き合ったままじっとしていた。
「ケン兄……」
「ありがとう。俺の思いを受け入れてくれて……」
「あたしも、」真雪は健太郎の頬に小指をそっと這わせた。「気づいた」
「え?」
「あなたに、ずっと抱いていた想い」
「マユ……」
「兄妹って、いつか離れていくって思ったらすごく切なくなっちゃって、あたしもケン兄が愛しくてたまらなくなってた」
「……そうか」
健太郎は真雪の髪をそっと撫でた。
「こんなことはもう、二度としない。誓う」
健太郎は真雪に目を向けた。
真雪はうつむいて小さく、うん、と言った。
「これで、やっとおまえを龍のもとに送り出せる」
「あたしも、ケン兄が春菜のものになるのを、心から祝福できる」
真雪はにっこりと笑った。
健太郎も少し寂しげに笑った。
二人は同じように瞳に涙を溜めて、柔らかく抱き合い、そっと唇を重ね合わせた。