枕営業-2
「どうしたの?暑いか?」
陽菜の様子を見て顔を覗き込む義孝。
「ちょっと酔ってきたからですかね…」
額の汗をハンカチで拭いた陽菜。暑い事は暑い。いや、正確に言えば、熱くなってきたのであった。
(や、ヤダ…体が熱くなってきた…。)
それは義孝に顔を覗き込まれた事で一気に加速した。体が熱い…、もっと正確に言うならば、陽菜の心にある気持ちを表す事が一番分かり易い。
(どうしよう…。何か…したくなってきた…)
急に性欲が疼いて来た。特に下半身が無性に疼く。自分の体の豹変に陽菜は戸惑う。
「大丈夫か?体調悪いのか?」
「あ、大丈夫です…」
顔を真っ赤にして視線をずらす陽菜。
「熱は?」
義孝がおでこに手を当てた。その瞬間、陽菜の心臓は激しく鼓動した。
(私、宮地部長とセックスしたいの…?ダメよ、藤間さんの旦那さんじゃない…。それに宮地部長と肉体関係になった事がバレたら会社にいられないし、丹野さんにも迷惑がかかる…。)
疼く性欲を抑えようとする。しかし抑えようとすればするほどに燃えて来る自分がコントロール出来なくなる。しかし心配そうに顔を覗き込み頭を優しく撫でてくる義孝を見た瞬間、陽菜の理性は失われた。
「すみません、何か気分悪くなってきちゃいました…。」
「だ、大丈夫か?」
「ちょっと無理そうです…。今すぐ横になりたいです…。」
この接待場所は有名ホテル内にある事は当然知っている陽菜。義孝なら自分がどうして欲しいのか理解してくれると思った。
「マズイな…。今日はここのホテルに泊まって行きなさい。一晩寝てここから出勤するがいい。丹野君には僕から連絡しておくから、ね?」
(ハイ…すみません。)
出来る限りの笑顔を浮かべたのはその優しさへではなく自分の真意を理解してくれたからだ。その先の事はさて置き、ホテルの部屋に入りたいという自分の意思を感じてくれた事が嬉しかった。陽菜は気分が悪いふりをして義孝に介抱されながらチェックインを済ませ部屋まで運んで貰った。
ベッドに寝かされた陽菜はもがくふりをしながら意識的に胸元を緩め、そして太股を露出した。
「じゃあ帰るよ…?」
そう言った義孝の腕をつかむ陽菜。
「宮地部長…、気持ち良くして下さい…。」
陽菜は自ら義孝の唇を奪う。そして唇を離すと悩ましく囁いた。
「抱いて下さい…」
と。