疑惑-7
義孝の姿が見えなくなった瞬間、いきなり健太郎が笑い声始めた。
「ククク…、ハハハ!自分の妻が不倫してる男を自宅に呼び 、もてなすとはな!しかも同じ屋根の下でフェラチオのおもてなしまで…。いい旦那さんじゃないか、藤間!」
何も言えなかった。夫を馬鹿にされた怒りよりも罪悪感を強く感じていた紗英。逆に義孝に申し訳なく思っていた。
「ハタから見たらとんでもない人妻だな、藤間は。」
返す言葉もない。自宅で不倫相手のペニスをしゃぶったのだ。とんでもない人妻に変わりは無い。健太郎は運転する紗英の太股の上に手を起き、少しずつスカートを手繰り寄せる。
「ダメ…」
「へへへ。」
為す術なく露出した太股を撫でる健太郎。
「ムラムラして来ちゃったよ。藤間…」
手つきがいやらしい。太股を撫でられながら健太郎の家に到着した。
「ちょっと上がってけよ。」
「えっ…?で、でも帰りが遅いと怪しまれるから…」
「それを上手く交わすのが賢い人妻ってもんだろ?来いよ。」
健太郎は車を降りて先に階段を上がって行った。紗英には選択肢はなかった。リベンジポルノが頭から離れない。健太郎に歯向かう代償はとてつもなく大きな物に感じた。
「どうしよう…」
紗英はそう呟いた後、車から降りて健太郎の部屋へ向かい、重い足を引きずるように階段を上がる。健太郎の部屋に入るのは初めてであった。また少し深みにはまってしまう自分が怖い。今からまたたくさん快楽に浸されるのだろう。倫理観のなさが情けなく感じた。
部屋に入り慌てて隠しカメラを録画状態にした健太郎の待つ部屋に、紗英は何も知らずに入って行った。また一つ、リベンジポルノの材料をみすみすと与えてしまう事になろうとも知らずに。
翌日、大島陽菜と一緒に北村建設を訪れた健太郎。義孝は興味深げに陽菜に応対した。それでもしっかりと商談はした健太郎。翌日、1人で来るよう、義孝に呼び出された。そこで予想だにしていなかった話を持ちかけられた。 「なぁ、俺に大島陽菜を…」
「えっ…?」
「気に入ったんだ彼女を。頼むよ。その変わり、身のある商談をしようじゃかいか…。」
義孝が持ちかけてきた話はまさに仰天ものであった。妻を寝取られる間抜けな夫だと思っていた義孝の見る目が変わる、そんな商談であった。
「宮地さん、あなたは大した男だ。見直しましたよ…。」
ニヤリと笑う健太郎。
「君ほどではないが、な?フフフ…」
2人の間に強い強い絆が結ばれた瞬間であった。