可憐な彼女-4
俺は兄貴と莉菜ちゃんはどんな話すんのかな〜？と黙っていたら、二人とも特に何も話さないでひたすら黙って歩いていた。
二人が手を繋いでいたところを見ちまったけど、俺の記憶からは消去しておいた。
気を取り直して隣に兄貴がいるのを構わずに、俺はさっそく莉菜ちゃんにアプローチを開始したわけだ。
「俺、5丁目のラ・メールっていうバーでバイトしてるんだ。よかったら今度来てよ。」
「大地君、カクテル作れるの？」
「基本的なヤツはね。莉菜ちゃんは良く飲みに行ったりするの？」
「うーん・・あんまりお酒は強くないけど、飲みに行くのは好きかな。」
「じゃあ今度飲みに行こうよ。」
「でも大洋君、あんまりお酒飲まないから・・・。兄弟で飲みに行ったりしてるの？」
莉菜ちゃんは兄貴の顔を見てしまった。
「いや、一度もないな。」
兄貴はメガネを直しながら小さい声で莉菜ちゃんに呟いた。
作戦失敗。やっぱり俺と二人っきりとは考えていなさそうだな。
一筋縄じゃ二人きりにも慣れなそうだな！