可憐な彼女-3
でも終始嬉しそうな兄貴の顔を見た瞬間、俺はハッと我に返った。
そういや莉菜ちゃんは兄貴の彼女だった、と。
そう気がつくと、あわてて俺はいつもの自分を取り戻した。
欲しい女は奪い取れ!それが兄弟の女でもだ!!
偶然にも莉菜ちゃんが家から帰る時、ちょうど俺もバイトに出る時間だった。
ラッキー、ここは二人きりになれるチャンス到来だった。
「俺も出かけるから、莉菜ちゃん駅まで送っていくよ。兄貴、いいよな?」
「そうか?じゃあ頼もうかな。」
「待って!ダメよ大洋、あなたの彼女なんだからあなたが送りなさい。ごめんなさいね、莉菜ちゃん。この子初めての彼女なもんだから、扱いに慣れていなくって・・・。」
人の恋路を邪魔すんな〜〜クソババア!!!と俺は心の中で思ってしまったけど、どうやら顔には出ていなかったようだ。危ねぇ、危ねぇ。
「大地もいってらっしゃい。バイト頑張って。」
笑顔で母さんは俺たち3人を送り出した。