デビルサマナー ソウルハッカーズ外伝-6
お互いの息が収まるのを待って、オレはおずおずと口を開いた。
「ごめんな、メアリ。途中から抑えが効かなくなって…痛かったよな?」
その問いに彼女は掠れそうな声でええ、とだけ答えた。
思いっきり罪悪感にかられたオレだったが、しかしメアリが恥ずかしそうにシーツで顔を隠したままで呟いた言葉を聞いて胸を打たれた。
「でも…確かに痛かったですけど、だんだん……びりびりと気持ちよくなって、…良かったです……」
オレは柄にも無く照れた。目を合わすのが気恥ずかしい。メアリもそうなのか二人で一つの状況を打破すべく意を決して振り向くと、なんとメアリも同時に振り向いた。再度気まずくなるかと不安に思ったが、その前にメアリが口を開いた。
「あの……風呂彦様。一つだけ、わがままを言っても…よろしいでしょうか?」
どんなわがままだろう?オレにできる事だったら良いが…そんな事を考えていた。
「これからも……時々、こうして下さいませんか?今日のように、わたくしを造魔メアリとしてではなく、独りの…メアリとして………」
オレは…無言で抱きしめた。突然のことに彼女はオレの腕の中で小さくあっと声を上げる。そシーツにくるまりながら背中併せになっているという間抜けなひとときが続く。
「あ…そのっ」
このして…にっこりと、微笑んだ。
「……これからも、わたくしの“病気”の治療、お願いしますね。風呂彦様」
…その時の彼女の笑顔が、勝利の笑顔のような気がした。