兄貴の彼女-3
今、俺は生まれて初めて兄貴に嫉妬している。
昔から容姿、勉強、スポーツ何一つ俺より秀でたものがなかった兄貴に、俺は初めて羨ましいという感情を抱いてしまっている。
俺の兄貴の名は、各務大洋。(かがみ たいよう)24歳、会社員。
平凡な大学を卒業後、中小企業の事務員として働いている。
兄貴は少し内気で、外見は全く俺と似ていない。初対面で兄弟と認識されたことは今まで一度だってないくらいだ。一言で存在を現すなら、“地味”と言ったらわかりやすいだろう。
もし似ている所を一つだけでも挙げろ・・・と言われれば、俺たちの髪の毛は直毛。と言うくらいだろうか?
そんな兄貴が最近、初めての彼女が出来たんだ。
俺を始め、親父も母さんも、まさか兄貴が恋愛に興味があったとは・・・と驚いた。
普通なら母親は息子を取られたくないと、彼女の存在を否定しそうなもんだが、俺の母親は兄貴を見初めてくれたと手放しで喜んでいる。
・・・女をとっかえひっかえしている俺の事はすでに諦めているらしい。