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“魔”の代償〜狙われた人妻事務員〜
【熟女/人妻 官能小説】

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接触する2人-2

 とは言え、これから仕事で2人が接触する事は危惧すべき事だ。何かの拍子で不倫がバレてしまう不安は拭いきれない。とにかく紗英は健太郎の話題には触れないようにするしかない。これ以上健太郎の関係を続けていく事にも不安を感じた。
 出勤した紗英。着替えて事務所に入るとまず健太郎に視線を向けた。紗英に気づく健太郎。見るだけでムラムラする…、そう常々言われている紗英は恥ずかしげにお辞儀をして机に向かう。
 緊張しながら事務所の机を拭いていく紗英。そして健太郎の机に来た。紗英は探るように言葉を口にする。
 「丹野さん、津田建設の担当になるんですか…?」
 「ん?あ、ああ。昨日言われたんだ。今日これから挨拶に行く所なんだよ。」
 「そうなんだ…。」
奥歯に物が挟まったような紗英に小声で言った。
 「心配するな…」
 「うん…」
事務所では言葉を選ばざるを得ない。不倫の事は絶対に秘密にして欲しい…、そう言いたかった紗英だが健太郎の理解を信じるしかなかった。紗英は不安なまま仕事を始め、そして津田建設の義孝の元に向かう健太郎の背中を黙って見送るしかなかった。
 (もし義孝さんが不倫を知ってて丹野さんと接触するんだったらどうしよう…。丹野さんが何かの拍子で不倫の事を口にしちゃったらどうしよう…。どうしよう…)
紗英は一日仕事に身が入らなかった。気が気ではなく手は止まりミスばかりしてしまった。いつもなら問題なく終わる仕事が全く捗らなかった。
 夕方16時になり健太郎が津田建設から帰って来た。不安そうな紗英に視線を送る事なく健太郎は社長室に入り社長に報告をした。気になる。社長室の中の会話が気になる。胸騒ぎもする。当然仕事が手に着かない。ソワソワしている紗英に内線が入りお茶を依依頼された。
 緊張しながらお茶を運ぶ。中に入ると社長に声をかけられた。
 「藤間君、旦那さんによろしくな?丹野君を気に入って貰えたみたいだし、ここは一つ頼むよ。」
 「え?あ…、はい…。」
健太郎は視線を向ける事はなかったが、何事もなく終わったようだ。胸を撫で下ろす紗英であったが、なぜ胸の支えが取れないのか、その理由は分かっていた。紗英は礼をして社長室を出た。


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