真相-14
彼らが帰りの電車に乗ろうと、駅までの道のりを歩いていた時
突然、誰かに呼び止められた。
「―――もしかして葵じゃない?」
振り向くと、そこには一人の女の子が立っていた。
葵が女の子の姿を認めると、彼は奈々子の手をギュッときつく握りしめた。
奈々子はどうしたのかと不思議に思って、背の高い葵の顔を見上げた。
しかし暗闇に紛れて、彼の表情はわからなかった。
いつの間にか鳴いていた蝉はいなくなり、
もうすぐ夏が終わろうとしている。