初体験-13
豹介が葵とゆかりのこと疑っていたなんて言えるはずがない。奈々子は口を濁した。
「大好きって言ってたよ。」
「そうなの?やだ、豹介ってば奈々ちゃんにそんなこと言うなんて、照れるじゃん。」
そう言ってゆかりは家に帰って行った。
結局奈々子はゆかりに葵とのことを聞けずじまいで、その日は終わってしまった。
(ゆかりは葵君の事は友達だと思っているみたいだけど、
葵君はどう思っているんだろう。
不安になるなら、本人に聞いたほうがいい・・・。
後ろめたいことがないなら、私に打ち明けてくれるはず。)
そう考えながら夜を過ごした。
奈々子は葵からメッセージが来ているのに気がつかずに、
そのままソファーで眠ってしまっていた。