疑惑-6
泥沼の彼女の両親の離婚話は進み、
長年の不倫をゆかりの父は認め、彼は多額の慰謝料を支払って、出ていった。
ゆかりの父親が今はどうしているのか、奈々子は全く知らない。
それから間もなく、ゆかりの母・・・、奈々子の叔母は奈々子の親子の住む、
この町へと引っ越すことに決めたのだ。
奈々子の母も離婚に賛成で、何かあったら助けるからそばに引っ越して来なさい!
と偶然空き家になったマンションの隣の部屋に、ゆかり達は引っ越してきた。
ちょうどその頃、奈々子は一人暮らしをしていてまさか両親が海外出張になり、
自分がゆかりとお隣さんになるとは、その頃は思いもしなかった。
それはゆかりの中学卒業の間際の時期だった。
なので彼女は中学の卒業式には出ていない。
彼女はこの先、今までの友達たちとも会おうと思えば会えるから。と言っていたが、
本当は元住んでいた町を離れたくはなかったようだ。
電車を乗り継いで2時間の距離だが、母親に気を遣ってゆかりは寂しいとは一言も
もらさなかった。