ン-5
「頑張るのよ!」
とウインクされて部を追い出された。
いろいろ考えなきゃいけないことはあるけど。
それは後回しだ。
とにかくもう社内メールを使うのはやめよう。
そう心に誓って電車に飛び乗った。
横浜駅で降りて、駅からほど近いAに入りこむ。
しゃれた店で、個室じゃないのがありがたい。
店内がぐるりと見渡せる。
見覚えのある面々が奥のテーブルで
シャンパングラスで乾杯をする時だった。
俺は走ってたどり着いた店で、立ち止まって見渡した瞬間に
汗がどっと噴き出していた。
汗を拭く時間ももどかしく
乾杯寸前のその席まで早足で向かう。
その間に大きく息を吐き出した。
三人の右端に座っていた真子ちゃんの斜め後ろにたどり着いて
乾杯をするためにグラスをあげたその手首を優しくつかんだ。
「え・・・?」
俺の行為にびっくりして
そこにいる6人の視線が一気に俺に集中した。
「清水さん!」
俺の名前を呼んだのは真ん中に座っていた女の子で
真子ちゃんはびっくりして何も言えずに俺を見た。
「真子ちゃん、一緒に帰ろう」