ナデナデ-2
・・ふと、目を覚ますあなた。バンザイさせられて、両手をそろえて手首に何かが巻きつけられている。
「え?」
思わず声を上げる。
「じっとしてて」
囁きかけられる僕の声に、寝ぼけまなこでじっとするあなた。でも、眠気が去るにつれて自分の両手が頭上で拘束されていることに気づく。両手をそろえてタオルのようなもので縛られて、ベッドの頭の部分に結わえ付けられている。
「ほら!動いたらだめでしょ!」
思わず身じろぎするあなたに、僕は鋭く声をかけて動きを封じる。そのまま足首に紐がかけられ引っ張られ拘束される。そうやって両脚を広げた状態で拘束されてしまうあなた。両手を頭上でそろえて拘束され、両足を広げて拘束され、漢字の“人”の形に固定されてしまったあなた。
「約束どおり、寝るまでなでなでしてあげるからね」
部屋の明かりを点ける僕。まぶしさに目をしかめるあなた。あなたを見下ろして、飛び切り意地悪な表情で笑っている僕。いつの間にかベッドサイドには三脚が立てられて、あなたのスマホがセットされている。
「なでなでされながら眠りたいんでしょ。望みどおりにしてあげる」
スマホを操作する僕。録画が始まる電子音がして、動作を示すランプが点滅し始める。
「記念の録画もしてあげるから」
ベッドで全裸で拘束されているあなたの姿が撮られている。やめて、というあなたの声に耳を貸さずに隣に横たわりあなたの体に触れる僕。指先をかすかに触れさせながら、わき腹やわきの下、耳たぶなどを繰り返し撫でる僕。一旦眠りについていたはずの感覚が目を覚まし始める。身をよじり逃れようとしても、拘束されているためかなわない。ただただ、意地悪な指先が撫で回す敏感な部分を差し出すに任せるしかない。
「ほら、早く目をつぶって眠りなさい。ずっとなでなでしててあげるから」
そういいながら体中を這い回る指先に呼び起こされる感覚は、体の熱を上げ、敏感な部分をいっそう敏感にしてゆく。
「いっぱい手でなでなでしたら、ちゃんと僕の唇や舌でもなでなでしてあげるからね」
いや、やめて。あなたは繰り返すが、完全に無視。まだ、胸や脚の間には触れられていないのに、熱い吐息が漏れてしまう。首筋、耳たぶ、胸のふくらみの脇、わき腹、太ももの内側・・。広げられ拘束された脚の間に正座して座って、両手の指をすべて使って撫で回す僕。とりわけ脚の間の敏感な部分に指先が近づくたびに、吐息は熱くなってしまう。
「あれ?どうしたの?ここもなでて欲しい?」
あなたの表情を伺いながら、繰り返し脚の内側を下から上になで上げる僕。
「でもまだだからね。ここは一番最後」
微笑むと、手を胸のふくらみに伸ばす。
「ここの頭をなでなでしてあげるね」
ふくらみを上から手で覆うと、先端の部分を手のひらでゆっくりと撫でる。すぐに先端は固くなり、手のひらとの摩擦で生じる感覚にあなたは身悶える。
「ほら、目を閉じて眠りなさい。なでなでされながら眠りたいんでしょ。目を閉じなさい」
言うとおりに目を閉じると、感覚がなでられている部分に集中して、いっそう感覚が高まってしまう。思わず目を開くとじっと見つめる僕の目とあう。
「ん?どうしたの?」
問いかけながら手を動かす僕。
「すごくいやらしい顔をしてるよ。眠れないの?」
いっそう手のひらの摩擦を強めながら。
「やっぱりいつものように、何回いけるか限界に挑戦!ってしたい?」
問いかけに必死でかぶりを振るあなた。
「だったら、目を閉じて眠りなさい。ずっとずっと、なでなでしててあげるから」
言いながらどんどん送り込まれる胸の先端からの感覚に、あなたはじっとしていられない。恥ずかしい声をあげながら身もだえ、腰をゆすってしまう。
そうやってしばらく胸をなでられてから、手は下へ降りてゆく。脚の間へ。すでに潤い始めている場所へ。
「ここにも頭があったよね。いっぱいなでなでしてあげるからね。ちゃんと寝るんだよ」
脚の間にたどり着いた手は、そこを両方へ引っ張って開く。すでに恥ずかしく潤っているその部分から、隠されていたいやらしい香りが立ち上る。そして意地悪な指先は、そこに隠れている小さな突起を見つけ出し、あふれている蜜を掬い取って塗りつけ始める。その感覚にあなたは、押し殺すことのできないあからさまな恥ずかしい声を上げ、身をよじる。
「ん?どうしたの?なでなでしてるだけだよ。眠れないのかな?だったら、限界に挑戦!、はじめるよ」
必死で目を閉じてこらえようとするあなた。でも指先はリズミカルに敏感な突起をなぶり、あなたはただ、送り込まれる感覚に身を委ねるしか許されない。
「胸の頭もなでなでしてあげなきゃね」
左手を伸ばして、右胸の先端を指先でつまみながら、右手で脚の間の敏感な突起をもてあそぶ僕。どんどん高まる感覚に身悶えるあなた。そして高まる感覚は一気にあなたを頂点へと押し上げる。身をのけぞらせ、その瞬間を迎えるあなた。手を緩めない僕。いっそうのけぞりは強くなる。そして。がくがくと身を揺らせながらくず折れるあなた。
「じゃあ、次は舌でなでなでだね」
いったばかりの敏感な体にくわえられる舌での刺激。あなたの脚の間に頭を埋め、舌先で敏感な突起を優しく舐めあげる。ゆっくり加えられる刺激に、また、次のゴールへ向けて走り出す感覚。舌を小刻みに動かして敏感な突起を“撫で”ながら、両手を伸ばして左右の胸の先端をつまんで、くねくねとねじって“撫で”る僕。濡れた音に一層感じてしまうあなた。あっという間に二度目のゴールを迎えるあなた。でも、僕は動きを止めない。そうして繰り返される絶頂へのループ。その一部始終があなたのスマホに記録されていく。
やがて僕はあなたの恥ずかしい蜜でびっしょりの顔を上げる。あなたの顔を見つめて。
「まだ寝てないの?だったら、限界に挑戦!、はじめちゃうよ」
シーツに顔を押し付けて濡れた口の周りを拭く。それからキスをして。
「うそうそ。そんなことしないよ。ちゃんと約束どおり、眠るまでなでなでしててあげるから」
そういいながらあなたの横に移動して。右手の指をあなたの潤んだ中へ侵入させる。すっかり熱くなり潤みきった内側に触れられて、それだけで達しそうになるあなた。すぐに感じる部分を見つけ出す指先。ゆっくりそこをなでなでし始める。我慢なんてできるはずのない感覚が送り込まれる。その上、親指の腹で敏感な突起も撫でられる。内側も外側も同時に撫でられ、一層乱れるあなた。
「あ、朝までに眠らなかったら、お仕置きだからね」
言いながら僕は手を動かす。でもあなたは聞く余裕がない。またあふれる感覚にさらわれ、頂点の渦へと叩き込まれてしまう。そこから這い上がろうとしても、意地悪な指が、舌が、すぐに突き落とす。そうして、一番恥ずかしい姿、一番恥ずかしい表情を、繰り返しさらさせられる。
結局、限界に挑戦!と同じ夜になってしまう。しかもその姿をスマホに残して。
やがて、窓の外は白み始め。繰り返された痴態も終わりの時間を迎えるよう促すかのように、朝日が顔を出す。
ずっと感じさせられ続け、いかされ続けたあなたは、息も絶え絶えな体をベッドに横たえている。足の拘束を外されて。
「だめでしょ、眠らなきゃ。いい子に眠れなかったいやらしいあなたには、おしりぺんぺんのお仕置きだよ」
両手を拘束されたままでうつぶせにさせられると、ひざ立ちで腰を高く掲げさせられ、僕のいきり立ったものを埋められるあなた。一番奥を突かれる感覚に軽く達してしまう。それから。激しく突かれる。腰をあなたのお尻に打ち付けるように動かして。何度も何度もいかされたはずなのに、貪欲なあなたの体は、また、ゴールへと走り出し、あなたの意思と裏腹に腰が動いてしまう。これまでにあえて与えられなかった一番奥の感覚が、一層深い感覚をあなたへ送り込み、夢中にさせる。こうしてあなたはまた、何度もいかされる。いくたびに
「お仕置きなのに感じるなんて、いやらしい子だね、あなたは」
「淫乱すぎるんじゃないの?」
「まだして欲しいんだ、いやらしい」
耳元に囁かれ。一層狂おしい気持ちにさせられ。
結局。いつもどおり。意識が遠のくまで責められて。
・・この日は、延長。
つかれきった二人は、お昼過ぎまで泥のように眠ってましたとさ。