ス-3
「あのメンバーどんなメンバーだ?」
苦笑いしながら清水さんが言うので、私はため息をつきながら
「美咲・・・井上さんは実は橋本さんを狙ってまして」
「へ〜?あれ?でも経管の山崎君は井上さんが好きなんだよな?」
「清水さんまで知ってるんですか?」
「山崎君の態度はあからさまだからな」
なんて笑いだす。
そう。同期でも早いうちから山崎君の美咲への片思いは周知の事実なんだけど
当のご本人の美咲が気づいていない。
「実は、井上さんは理想の恋人の条件が変わってまして・・・」
「変わった条件?」
「はい。あの・・・他言しないでくださいね」
「うん。俺と真子ちゃんの秘密ね」
なんてちょっと嬉しそうに指切りをしようと小指を出してくるから
思わず私も小指を絡めた。
そのまま清水さんは私の小指を絡めたまま話を聞く体制になって
「井上さんは地味な男性と結婚したいらしいのです」
「は?」
うん。普通は驚くよね。
「どうも、今まで付き合ったイケメンにいい思い出がないようで」
「へ〜・・・」
そう言って清水さんは三人の席をまた眺めた。
私の小指を離さないままに。