Girl Meets Devil-2
そして、全ての線に光が行き届くと一瞬、―ほんの一瞬だが― 強烈な光が放たれ私の視界を包み込んだ。
思わず目を瞑り、次に目を開けたら何と、蝙蝠ような羽が付いた男が立っていた!
その双眸はこの闇夜の中で紅く輝き、 そのこの世のものとは思えぬ端整な顔立ちに私は思いがけず見とれていた……
その男はこう話しかけてきた。
「汝に問う。汝の願いは何か?」
[ここで話は冒頭へと戻る]
先に口を開いたのは私だった。
「本物?」
「この翼が紛い物だと思うのか?」
私は慌てて首をブンブンと横に振った。
「それよりも、先ほどの言葉はなんだ?」
「えっと…あの…まさか本物が出るとは思わなくて……」
こんな有り得ない状況に対して私は案外冷静だった。
「違う!保留とはなんだと聞いている!」
「だから、まさか本物が出るとは思わなくて何にも決めて無い!」
「じゃあこの陣はなんだ!」
「知らない!他の奴が作ったんだよ!」
ああ、私って意外と度胸あるよな。なんたって本物の悪魔と口喧嘩してるんだから。
「まあいい。俺はお前に呼ばれたんだからさっさと『契約』するぞ。保留ってことは欲望を叶えたくないわけじゃないんだろ?」
そう言われるとそうかもしれない。それよりも……
「『契約』?」
「本当に何にも知らないのか?」
私は首を縦に振る。
男ははぁ〜っと大きな溜め息をついた。
仕方ないじゃん。本当に出て来るなんて思わなかったんだから。
「いいか。契約とはな俺がお前の願いを叶えるかわりにある物を貰う。」
「ある物?…ってまさか、私の命!」
そういえば伝説なんかによくある話だ。願いを叶えるかわりに命を寄越せって。
「う〜ん…おしいな。俺が貰うのはお前の命じゃなくて血だ。」
血?私はもしかして悪魔じゃあなくて、吸血鬼を呼んじゃったのか?
「吸血鬼も悪魔もそう大して違いは無いだろう。それに血の量は月にほんの僅かでいい。献血よりも少ないぞ?」
「う〜ん…どうしよう……」
悪魔を信用してもいいのだろうか?人は外見だけじゃ分からないって言うけど、今私の目の前にいるのは本物の悪魔だからなぁ…
それに呼び出しといて帰ってもらうのも失礼だろうし、願いが叶うって言うのも魅力的だ。
ええい!何とかなるだろう!