日常の中の非日常-1
里菜は弘の運転する車の助手席でドキドキしていてた。
いくら人間そっくりと言えど所詮リアルドールという負い目を感じている。
車の助手席にリアルドールを載せて外出するなんてどう考えてもまともじゃない。
マスターがそんな目で見られるかと思うと責任を感じずにはいられない里菜なのであった。
「どうした?里菜?表情が堅いぞ」
「本当に私を外に持ち出すつもりですか?」
「どうした?最初デートって聞いた時、あんなに喜んでくれたじゃないか?」
「デートは嬉しいですけど。お兄ちゃんの社会的立場が心配です」
「何?それは?」
「だってリアルドールを連れて外出だなんてどんだけ変態、世間に知られたら社会的地位を失ってしまいます」
「変態って…」
「だって大人の玩具を持って外出なんて変態以外のなにもでもない。発覚したら社会的に抹殺されたも同然です。」
「…そこまで言うのか…失なう社会的地位も立場も最初からないから大丈夫」
「でも…」
「誰も里菜をリアルドールだなんて思わない。本物の人間にしか見えないから問題なし。俺にとって里菜は本物の彼女だし」
「お、お兄ちゃん…」
堅かった里菜の表情が和らぐ。
実際街中ですれ違う人々は美少女の里菜の愛らしさに思わず振り返るがリアルドールだと気がつき不審な目で見るものはいなかった。