元カレの秘密-5
3年・・・幸雄は3年浮気していたんだ。
3年間、自分が何にも気がついていなかった事に呆れる。
本当バカだったな、私・・・。
奈々子はそう思った。
「今度こそ、永遠にさようなら。もう連絡してこないでね。」
そう言い残すと、奈々子はその場から立ち去った。
後ろで何か叫んでいる声が聞こえたが、彼女の耳にはもう届かなかった。
亜美の言う通り、彼と結婚できなくてよかった。
始めてそう思った。
電車に揺られる。
ガタンゴトンと規則正しい音が聞こえる。
やっと終わったな。と奈々子は思ってしまった。
一仕事終わったな、と家の最寄りの駅の改札口から出ると、葵が立っているのが見えた。
「お疲れさま、奈々子さん。体調大丈夫?」
「・・・葵君、もしかしてずっと待っていてくれたの?」
「うん、昨日調子悪かったでしょ、心配だったから。」
「ありがとう。・・・ありがとう、葵君。」
奈々子の両目から涙がこぼれる。
「わ、どうしたの奈々子さん!泣かないでよ・・・。」
「・・・悲しくて泣いているんじゃないの。葵君がいてくれて嬉しかったから。」