お風呂で仲直り-3
奈々子は葵を後ろから抱きしめた。
「お願い、信じて。私の彼は葵君だよ。他の誰でもない・・・。」
「足りないよ。」
奈々子は前に回って彼に唇を重ねる。
「私が好きなのは葵君だけなの。愛してる・・・。」
そう言うと葵は奈々子をそっとソファーに横たわらせた。
しかしその瞬間、奈々子に悪夢が蘇る・・・。
幸雄が強引に彼女を抱いた日の事を・・・。
奈々子の身体は無意識に震えた。
葵が怖いはずなんてないのに、勝手に涙が零れ落ち始める。
「奈々子さん・・・どうしたの?」
「ごめん、ごめん葵君・・・。」
「どうして謝るの?俺、何かした?」
「何もしてない!!!葵 君は 何 も・・・。」
言葉を詰まらせて泣く奈々子に葵は不信感を抱く。
「―――奈々子さん、なんか隠してるでしょ?」
彼女は首を振る。
「嘘。じゃあ、なんで泣いてるの?」
「そっ・・それは、・・・。」
「大丈夫、何があっても驚かないから言って。一人で抱え込んでいるから、
昨日みたいに熱が出るんじゃないの?」