プロポーズ-5
土曜日の正午ちょうど、それも夏休み。
彼らがいつも行くお洒落なレストランやカフェはどこも満席だった。
幸雄が仕方なく向かった先はファミレスだった。
いつも幸雄はお洒落なバーやレストランを探すのが好きで、
ファミレスに行こうとする姿なんて、いつもの彼からは想像できない。
「――こんな所しか空いてないな。ここでいいか?」
「いいよどこでも。ファミレス久しぶり。」
ファミレスは部活帰りの高校生や、子供連れのお客さんで賑わっていた。
奈々子は幸雄と別れることしか考えてなくて、
彼の姿しか見ていなかった。
注文した料理はすぐやってきた。
「―――やっぱり、まずいな。」
「そんなことないよ、たまにはいいんじゃない?安いし。」
「まあ今日は・・・お前がいいならいいけど・・・。」
お互い言葉が詰まる。
気まずい空気のまま時間が流れる。