友人の裏切り-3
合宿へ向かうバスへ他の部員達と共に弓を担ぎ乗り込む一条君。
「へぇー、部員全員が行く訳じゃーないんだ。」
「まぁね、十和田君も学校に残るみたいで。」
バスに足を踏み入れる彼の背中に巴ちゃんは声を掛ける。
「巴…。」
「……。」
お互い時が止まったように見つめ合い。
「じゃ、行って来るね。」
「うん!お土産宜しくね♡」
「おいおいっ!この状況でそれはないでしょう。」
「てへぺろっ♪」
「なら時々電話するよ、」あれだったら写真付きで手紙でも。」
「阿保!んなもんいいって!」
「でも…。」
「…ありがとう。」
「!!…うん。」
今までに見たこともない人間としての綺麗な血が流れているような仏のようなとっても
優しい顔←凄い失礼
顧問の先生にせかされ、奥へ向かう彼。
「それじゃ、今度こそ。」
「……。」
「蓮の奴、今日は正常に常識的に他人と接してる。」←こりゃまた失礼
名残惜しそうに背を向ける、すると。
「巴ちゃん!?」
「っ!?」
素早く彼の腕を掴み、振り向かせ、そして熱いキスをする。
「と、巴……。」
「頑張ってよ…、これでもし私の事で練習に身が入らなかったら、許さないんだから。」
「うん、良い結果…、期待してよね。」
「……。」
それから彼女はそれ以上言葉を発する事はなかった。
彼の乗ったバスが、小さくなりそして姿が見えなくなるまで瞬き一つせずじっと見つめる
巴ちゃん…。