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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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友人の裏切り-2

滑らかな川が休む事なく流れ、私達を包み込むように柔らかな風が吹く。

「今日は、どうもありがとう。」
「えっ?」
「私の為に、態々今日水族館に行こうって計画を立ててくれたんでしょう?」
「!…どうしてそれを?私二人には話すなって。」
「おバカさんねぇー、アイツらに口止めとかしなくたって分かるよ、何となく、ね!」
「巴…ちゃん。」

ゆっくりと歩み、川に写る自分の顔を腰を下し、見つめる。

「本当に、大丈夫?」
「大丈夫って何が?」
「いや…、だって!一条君と会えなくなるんだよっ!?しばらくの間!」
「若葉……、そうだね。」
「寂しく…ないの?」
「ぜーんぜんっ!……何て言ったらウソになる。」
「……。」
「寂しいさ、あんなマイペース野郎だけど面白くて、普段は人の神経逆なでてばっかで
ムカつく時もあるけど、私の事ちゃんと思ってくれて、この前だってバレー大会に優勝
したい私の為に悪態は突きつつも、最後まで練習に付き合ってくれて…。」
「巴ちゃん。」
「一緒に居ると何だか暖かくて、こんなお転婆クッサレ女を支える壁になってくれて。」

思い詰めたような横顔。

「ならどうして引き留めなかったのですか?貴方が言ったら彼だって。」
「弓道部はああ見えて影の薄いグループでね、ウチらバレー部やあたるのバスケ部見たい
に大会優勝とかそういった栄光や確かな実績がなくてね、もしこのまま何も名声を挙げる事も出来なかったら廃部って噂もあって…。」
「それじゃー。」
「うんだから合宿でしっかり腕を磨いて、合宿の話が来たのだって幸運なチャンスで、
上達が芳しい場合は大会出場もあり得るらしいから。」
「そうだったんですか…。」
「こんなんで引き留めれると思う?」
「うーん、一条君を巴ちゃんをここまで追いつめる何て、顧問の方は一体何を。」
「いやいや、部活のせいじゃー、もしそんな追い込まれた訳じゃなくても同じ事をするよ
私は…。」
「えっ?」
「当然でしょ?大好きな人の夢を応援するのは当然。」
「巴ちゃん。」
「この前バレーボール大会で優勝して私は胸が高ぶる程嬉しかった、だから今度は私が
その嬉しさを彼に届けたい。」
「……。」
「それだったら、私が一人たかが一カ月待つくらいどうってこたーないっ!思う存分腕を磨いてくるが良いさって話よっ!」
「巴ちゃん…。」

そう語る彼女の瞳は慈愛に満ち溢れていた。

「お前、良い彼女を持ったな…。」
「巴…。」


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