告白-4
奈々子の気持ちはこの上なく満たされていた。
電車が彼らの住む駅に着いた。
葵の住むマンションがすぐそこに見えている。
寂しいけど今日はこれでお別れかな、と奈々子が思った時、
彼は耳元で囁いた。
「これから奈々子さんの家、行っていい?」
「いい けど・・・でも、葵君は家に帰らなくていいの?もう遅いよ。」
「遅いって、まだ18時じゃん。」
「でも ご両親、心配するんじゃない?弟さんもいるんでしょ?」
「大丈夫。親はいっつも帰って来るの夜中だし、弟も友達の家行ってるって。」
「・・・そう?ならいいけど。」
葵は嬉しそうに奈々子の顔を見た。
彼女はなんだか照れくさくなって、目をそむけてしまう。
私の家に着くなり、葵は言った。
「奈々子さんって不思議だね。」
「え、どうして?」
「だって、すごい積極的なのかと思ったら、大人しいし。
控えめなのかと思ったら、けっこう大胆だし。」
「それって褒めてるの?私、けなされてる?」
「褒めてるよ。すごい可愛い。」
「もう、からかわないでよ。」