初デート-1
葵は10時ちょうどに、奈々子の家にやって来た。
「家に上げてくれたの、2回目だね。前は夜だったからあんまり覚えてないけど、
広い家に一人で住んでるんだね?」
「本当は両親の家なの。だけど二人とも海外赴任中だから、私一人で住んでるだけ。」
「兄弟はいるの?」
「ううん、一人。葵君は?」
「俺は弟いるよ。今、中学生。」
「ちゅ、中学生?!・・・そうだよね、葵君まだ10代なんだもんね・・・。」
奈々子は驚きと共に現実を思い知らされる。
「歳の事、気になる?」
「当たり前でしょ?!私、もうすぐ30歳になるんだよ!」
「まだ27歳じゃん。ゆかりから聞いた。」
「・・・もうだよ。」
落ち込んだ様子の奈々子に、葵は真面目な顔で話し出す。
「今はさ、17歳と27歳の歳の差ってすごいあるように思うけどさ、
この先27歳と37歳、37歳と47歳とかって、そんなに違わなくない?
そんなカップルたくさんいるよ。奈々子さんって世間体気にするタイプ?」
「・・・葵君って、大人びてるね。こんな事考える高校生、初めて会った。」
「そうだね、だから俺は同じ年代の子に興味ないのかも。」
「そうなの?」
「なんか子供っぽくってさ。」
「えー、それって普通、女の子が言うセリフじゃない?」
奈々子はくすっと笑ってしまった。
「あ、やっと笑った。」
「え?」
「初めて会った時は、泣いていたでしょ?次に会った時は、びっくりしてた。
それから、今日は笑った。今日の顔が一番いい。」
葵はじっと奈々子の顔を見つめ続けた。