初デート-4
ゆかりの家の前を通り過ぎる。
・・・どうか彼女に見られませんように。
奈々子は無意識にそう思ってしまった。
何の計画を立てずに二人は駅に着いた。
「そういえば葵君は何処に住んでるの?」
「俺?あそこ。」
そう言って彼が指をさしたマンションは、超高層マンションだった。
最近できたばっかりで駅近くの、彼女には到底手が出ない価格のマンションだった。
「・・・葵君ってお金持ちの子だったんだね。」
「金持ち?全然。両親が共働きなだけ。」
「そうなの?」
「そうそう。で、どっか行きたいところ決まった?」
奈々子は駅に貼ってある広告を見上げる。
すると以前からちょっと観てみたいな、と思っていた映画のポスターが目に留まった。
「映画!映画観たい。」
「ok、じゃあ行こうか。」