再会-9
(もしかして、警察?!)
勇気を振り絞り、恐る恐る覗き穴を覗くと、そこに立っていたのは
葵だった。
小声で彼が奈々子に語り掛ける。
「奈々子さん、いるんでしょ?」
(どうしよう、もしかして私を脅してお金取るつもり・・・とか?)
「開けてくれないと・・・」
そう彼が言った瞬間、奈々子は勢いよく扉を開けた。
彼の腕をグイッと引き寄せ、誰にも見られていないかと左右を確認した後、
玄関に引っ張り込んだ。
ドアが閉まるなり、葵は奈々子をギュッと抱きしめた。
「やっと会えた。」
1週間ぶりの彼の香りにドキドキしてしまう奈々子がいる。
――とそんな事を考えている場合ではない。
彼に謝らないと!
せっかく頑張って取った看護師の資格だって剥奪されてしまう!
「あ の・・・葵君・・・ちょっと話が・・・。」
そんな奈々子の言葉をお構いなしに、葵は彼女を抱きしめ続けていた。
「奈々子さん、どうして連絡くれなかったの?」
「あ、えっ・・ごめん。仕事が忙しくて・・・。」
「ずっと連絡来るの待っていたのに。」
「あの、ごめんね・・・?」
「俺の事、遊びだったの?」
「あそ・・び?」
「だってセックスした仲なのに、連絡くれないから。」