愛しい人-18
指輪でティアラは思いだした。
(そういえばお母さんからネックレスを預かっていた!
でも、どこにやったのだっけ・・・?)
彼女は記憶を辿る。
(そうだ、あの男に閉じ込められていた時、服と一緒に剥ぎ取られて・・・。
今もあの部屋にあるのだと思う。)
「あの、お母さん!」
「どうしたの?」
「お母さんが私に預けた翡翠のペンダント、あの廃墟のお城にあると思うの・・・。
ごめんなさい、ちゃんと持っていなくて。」
「大丈夫よ。それなら私が拾っておいたわ。大事なものだもの、すぐに目に入ったわ。」
そう言ってティエラは再び自分の胸にかけたペンダントを見せた。
すると妃が気がつく。
「あら、そのペンダント・・・。」
「お姉さまも覚えていらっしゃるかしら?」
「もちろんよ。お父様とお母様が私たち姉妹に送ってくださった贈り物ですもの。」
そう言って妃も自分の胸にかけている、ティエラと同じペンダントを見せながら呟く。
「今は亡きお姉さまも、このペンダントと一緒に眠っているわ・・・。」
それから妃とティエラは昔を懐かしむように、昔話を始めた。