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あるお伽噺
【ファンタジー 官能小説】

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愛しい人-17

「ラウル、あなたはティアラを一生守っていく覚悟はあるのかしら?」

彼はすぐに答えた。


「はい。」

「私の大事な姪よ。彼女を傷つけたら許さないわよ。」

「わかっています。」

「それでは、あなたに命令を下します。あなたの盗賊集団を解散させなさい。
二度と盗みは行わない、これからは全うに生きる。そう誓いなさい。」

「――仰せの通りにします。」

「それから、あなたの仲間たちには何か仕事を与えましょう。
盗賊といえど、人にはそれぞれ得意分野があるものよ。
手先が器用なものには職人として、体力に自信がある者は騎士として、
この国に貢献してもらいましょう。」

「ありがとうございます。」

「それで、あなたは何が得意なのかしら?」

「・・・俺は狩りができます。」

「そう、さっきティエラも言っていたわね。
では、今これよりあなたは狩人として暮しなさい。
まずは見習いとして、修行を積みなさい。」

「はい。」


ティエラが言う。


「お姉さま・・・。寛大なお考え、感謝いたします!」

「大事な姪の想い人ですもの・・・。無碍にはできないわ。
でもラウル、覚えておいて、私はあなたの全てを信用している訳ではありません。
これから全うに生きて、ティアラを幸せにして、
それから初めてわたくしはあなたの存在を認めましょう。」

「はい、努めます。」

「ティエラもこれでいいわね。」

「はい、もちろんですわ!お姉さま。ありがとうございます!」


ティアラもお礼を言う。


「ありがとうございます!!お妃様!!!一生恩にきります!」


妃はニッコリとティアラに微笑んだ。


「そうそう、ティエラ。あの指輪覚えていて?
あなたが嫁ぐ先だった王子から頂いた指輪の事。」

「はい・・・。忘れもしません。」

「あなたを執拗に狙っていたという、あの盗賊から無事に回収したそうですよ。
私は王に頼んで、もとあるべき場所へ返すことにしました。
今、その王子は王になったのだけれど、彼の国は、我が国と協定を結んでいるのよ。
昔に滅びた我が王国には、隣国も戦争は仕掛けられない・・・。
隣国の王も、無事に指輪が戻るとただ安心されると思うわ。」

「・・・そうでしたか。ありがとうございます。私からは何も申し上げることができませんが、よろしくおねがいいたします。」


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