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あるお伽噺
【ファンタジー 官能小説】

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愛しい人-15

ティアラが焦燥感に駆られていた時、一人の従者が慌てて入って来た。


「申し訳ございませんっ!!!失礼いたします、お妃様!!」

「まあ、慌ててどうしたというのです?」

「お話し中の所、大変失礼だと存じ上げていたのですが、緊急事態でして・・・」

「緊急事態・・・?どうしたと言うのですか?」

「実は・・・自分は盗賊だから捕まえてくれと城内で騒ぎ立てた男がいまして・・・。」

「それでしたら、ひとまず彼を捕まえて、取り調べを行えばいいことでしょう?
それになぜ私の所へ来るのです?私は今、妹たちと大事な話をしているのです。」

「いえ、それが・・・その。」

「なんですの?」

「そちらのティエラ様とティアラ様とご一緒にこの城にやって来た男でして・・・。」


従者は困ったように二人の顔を見ながら、妃に申し上げる。


「ラウル?!」


ティアラは思わず叫んだ。


「お妃様の大事なご家族の知人です故、お妃様がどうお考えになられるか、
ご意見を伺いたくて・・・。」

「・・・その方は今、どちらにいらっしゃるのかしら?」

「後ろに控えております。」


従者がそう言うと、警備隊員はラウルを私たちの前に突き出した。
妃はティアラに言った。


「ティアラ、この者が先ほど言っていた方なのかしら?」

彼女は正直に答える。


「はい・・・。」

「あなたたち、もう下がっていいわよ。この男は私が尋問いたします。」

「お妃様!危険です!!もしこの輩に命でも狙われでもしたら・・・。」

「私に逆らうつもり?」

「いえ、滅相もない!」


そう言って血相を抱えて従者と警備隊員は部屋から下がった。
ティアラはすぐにラウルに駆け寄った。



(・・・どうして?さっき仲間の所へ行くって言ったのに。

すぐ私の元に帰って来るって言ったのに。

自分が盗賊だなんて言ったら、捕まってしまうのに。

また黙って私の元から去ろうとしたの・・・?)



彼女の胸は、再び自分から去っていこうとしたラウルの行動に、打ちのめされていた。


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