決着の時-4
するとその時、ガタンっという大きな音が部屋のどこかから聞こえてきた。
それと同時に彼女の名を呼ぶ声が聞こえた。
「ティアラ!」
顔を上げるとそこには、ラウルと、探し求めていた母の姿が鏡越しに映っていた。
ラウルはあわれもないティアラの姿を見ると、怒りに満ちた顔で、一瞬でロイクに詰め寄った。
「そこまでだ、ロイク!!」
ラウルの短剣が、ロイクの首元にあてがわれたのが鏡越しに見えた。
ロイクのペニスはニュチュっと体液の絡まる音を最後に、ティアラの中から出ていった。
そのままラウルは、彼をティアラから遠ざけた。
すぐにティエラが彼女の娘に駆け付けてきて、そばにあった布を巻き付けてくれた。
ティアラは号泣しながら母親に抱き付く。
「お母さん、お母さん!!!」
「ティアラ!!!」
ティエラは愛しい娘を強く、強く、きつく抱きしめた。
しかしこんな状況でも、ロイクは全く動じなかった。
「サミュエル・・・俺をこんなもんで殺せると思ってんのか?」
そう言ってラウルの腕を力強く鷲掴みにする。
あまりの怪力にラウルが怯んだ瞬間、ロイクは自らに向けられていた短剣を奪い取る。
間髪入れずにロイクはラウルをそのまま投げ飛ばした。
ラウルは暖炉脇の壁に激突し、そのまま気を失ったのかぐったりと足を投げ出して
座り込んでしまった。
「甘いな、このガキが。俺に刃物を向けるなんて、百年早ぇんだよ。」
そしてロイクは彼女たちの方を向いた。
ティエラを見て、ニヤリと笑う。