ロイクの企み-2
その時、ガチャガチャ、と鍵を開ける音がした。
ギイっと音を立て、男がのっそりと部屋に入って来た。
ロイクと呼ばれる男だ。
ティアラが窓の傍にいるのを確認すると、あっという間に近づいてきた。
「目が覚めたか?」
「・・・ここは何処?ラウルは?彼は無事なの・・・?」
「ラウル?・・・・ああ、サミュエルの事か。」
ティアラはロイクに詰め寄る。
「お願い、ラウルに会わせて!!」
「無理だな。」
ロイクは冷たく言い放った。
「どうして・・・?」
「ふん、お前の態度次第で考えてやる。それより、この部屋は気に入ったか?」
「気にいるはずないじゃない!!ラウルに会わせてよ、
それにお母さんをどこにやったの・・・?どうして私をここに閉じ込めるの?」
彼は窘めるように言う。
「そう興奮するな。これからお前はここで俺と暮らすんだ。」
「え・・・どういう事?」
「――お前に昔話をしてやろうか。」
そういってロイクは語りだした。