盗賊サミュエル-2
そんな彼女に気がついてか、サミュエルが近づき、耳元で囁いた。
「ついて来い。」
仲間たちが豪快に水浴びしている泉を背に、彼は細心の注意を払いながら歩き出した。
数分歩くと、そこには小さな泉がポツリとあった。
「お前はここで浸かれ。」
ティアラは黙って頷いた。
「今、誰もいねえから、しゃべってもいいぜ。」
と言われて、彼女は答える。
「はい。」
ティアラはもう、彼の前で裸になることに抵抗はなかった。
毎晩、毎朝 裸を見られていたから、彼も何とも思わないだろう。そう思っていた。
むしろ、また気持ち良くしてもらいたい。と心のどこかで考えてしまっていた。
彼女は覆面を取り、服を脱いで、泉に入った。
冷たい水が気持ちいい。
自然と顔が和む。
「どうだ、気持ちいいか?」
「はい。ずっと汗を流したかったから、気持ちいいです。」
「そうか。」
その時ティアラは何気なく思った。
(ここで私が水浴びしていたら、サミュエルは汗を流す時間がないんじゃないかな?)
「あの、あなたは入らなくていいんですか?」
「・・・あ?なんだお前、一緒に入って欲しいのか?」
彼女は焦る。
「いえっ、違います!!そういう意味じゃなくって・・・
私と一緒にいたらあなたが水浴びできないと思って・・・。」
「そうだな。」
「あの・・・すいません。私だけ・・・。」
「お前、俺に悪いと思ってんのか?」
「・・・はい。」