滅ぼされた村-11
すると、どこからか馬が走る音が聞こえて来た。
パッカ パッカ パッカ・・・リズムよく馬が走っている音が聞こえる。
しかし彼女は滲む涙で前が良く見えない。
ぼやける視界の中、馬が彼女の傍で止まったかと思うと、
突然話しかけられて彼女は我に返った。
「おい、お前!」
目を凝らしながら見上げると、馬にまたがった男が見えた。
男はしばらく彼女から目を逸らさずに、何度も問いかけていたが、
ティアラは口を聞くことが出来ずに、男の顔をぼんやりと眺めていた。
しびれを切らした男は馬から降りて、今度は彼女を揺すりながら、大きな声で尋ねた。
「おい!しっかりしろ!!盗賊が来たのか?!」
“盗賊”
ティアラはその言葉を聞くと、枯れたと思っていた涙が再び溢れ出した。
彼女は夢中で何度も頷いた。
「・・・こんなところまで来やがったのか、あいつら・・・。」
男は舌打ちしながらつぶやいた。
「おい、お前!お前はずっとここに居る気か?」
(そんなことを言われたって、私はどうすることもできないし、行く場所だってない!
私はこれからどこに行けばいいの・・・?
お父さんは殺されてしまった。
お母さんは連れ去られてしまった。)