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例えばこんなカリキュラム
【二次創作 官能小説】

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〜 社会・政経 〜-1

〜 19号の社会・政経 〜

 
 私がこれから教える教科に、政治経済、略して『政経』という呼び名は果たして相応しいだろうか。 個人的には『システム学』とでも呼ぶ方がしっくりくるが、それよりは『政経』と呼んだ方が体面が整う気もするし、どちらがいいとは断言しにくい。

 地球世界がいくつもの国家に分断され、それぞれの国家が自存自律をかけて争っていたからこそ、外政内政が存在した。 既に統一がなった現在では、辛うじて内政はあっても、対外政策は存在しない。 その上内政が『寡頭独裁』体制となって硬直したため、古代ギリシャに端を発した民主的な政治は失われている。

 経済もまた、大きく姿をかえてきた。 売り手と買い手が存在し、『神の見えざる手』『市場原理』『群集心理』『ミーム』といった要素で商品の値段が決まる時代は終わった。 衣食住すべてが配給制になり、労働対価は配給という形で提供される。 もちろん貨幣も存在するが、用途は限定され、娯楽専門に供せられるため、世界に普及するには至っていない。 そもそも、牝が貨幣の恩恵に浴することは、基本的に有り得ない。

 である以上『政経』という科目が扱う内容は、現代のシステムが中心になる。 システムの筆頭は『憲法』だ。 古代の規範となった様々な条文と、現在の憲法――『統一憲法』と称している――を比べてみよう。


 
「すべての人は平等に造られ、造物主によって一定の奪うことのない権利を与えられ、その中には生命、自由および幸福の追求が含まれる」(18世紀・アメリカ独立宣言)
『社会通念上の優秀を認められた存在は、一定の奪うことのない権利を与えられる。 その中には生命、自由および幸福の追求と、それに伴う強制力、責任が含まれる』(統一憲法)

「人は、自由、かつ、権利において平等なものとして生まれ、生存する」(18世紀・フランス人権宣言)
『社会通念上の優秀を認められなかった存在は、自由、平等、権利の一切を放棄する』(統一憲法2条)

「天皇は法律を執行する為に、又は公共の安寧秩序を保持し臣民の幸福を増進する為に必要なる命令を発し、又は発せしむ。 ただし命令をもって法律を変更することを得ず」(19世紀・大日本帝国憲法9条)
『社会通念上もっとも優秀と認められた存在は、法律の如何によらず、公共の安寧秩序を増進するために必要な命令を発することができる』(統一憲法3条)

 現在の憲法では『優秀さ』が鍵になる。 優秀さに無制限の価値をおき、優秀でないものは一顧だにしない。 現在の政治・経済を指揮している『優秀な人物』は100%が殿方であり、また100%の殿方が優秀の範疇に属している。 そして最高法規たる憲法がは、優秀な人物の価値に制限を設けていない。 ゆえに私たち優秀でない牝が殿方に従わないということは、法律面からいっても、あってはならない。 




「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、我らと我らの子孫のために、諸国民との協和による成果と、我が国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によってふたたび戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。 これは人類普遍の原則であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。 我らは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。 
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理念を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。 われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。 我らは、全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 我らは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則にしたがうことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力を挙げてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」(20世紀・日本国憲法前文)
『全存在は、社会通念上の優秀を認められた人物を通じ、自己の存在を規定する。 優秀なる集団は全存在の主権を信託され、その権威は優秀さに由来し、福利、衣食住を全存在に分配する。 過去と未来を繋ぐことは生命普遍の原理であり、全存在を後世へ伝えるために、道標たる憲法は、優秀さを唯一無二の価値と規定する。 この価値を幸運にも達成した人物は、過去を現在まで引き継いだ優秀なる存在に敬意を払うとともに、全力をあげて他者を律し、持続可能な未来を構築する責務を負う。(統一憲法前文)

 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義は過去の話だ。 現在では『賢者主権』『基本的人権の撤廃』『命令順守主義』と教えている。 極端な話――といってもよくある話なのだが――優秀な殿方が熟考の末に『死ね』といえば、私達は即座に命を絶たなければいけない。 そして、殿方が本当に熟考したかどうか、その心を推し量ることすら、牝の権利として認められていない。

 日本国憲法草稿を著した女性、ベアテ・シロタは、自国ではなく他国の憲法に、殿方ではなく、品性知能の劣悪な妊婦や未通女子といった、牝への配慮を求めていた。 様々な意味で傲岸不遜の極みといえるが、こういった過度で不合理な取り組みを修正するため、現憲法がわざわざ条文化されたともいえよう。






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