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例えばこんなカリキュラム
【二次創作 官能小説】

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〜 社会・地理 〜-2

 ……。


 21世紀を悩ませたエネルギー問題は完全に解決した。 原子力発電も火力発電も必要ない。 人類の――いや、殿方の英知でもって前述の自然エネルギーを活用することで、現代では全電力のほぼ100%を賄っている。

 宗教問題も解決した。 21世紀まで存続した様々な一神教――キリスト教、イスラム教、ユダヤ教――は消滅し、多神教――仏教、ヒンズー教、神道――は、殿方を現人神として生まれ変わった。 殿方以上に価値がある存在は、過去、現在、未来を通じて存在しえないのだから当然だ。 今の私達は、信仰とは少し違うけれど、殿方に絶対服従を誓い、指導を仰ぐことで生活させていただいている。 厳密にいえば、殿方ではなく『優秀な人』への服従なのだが……まあ、限りなく殿方信仰に近いため、同じといってもいいだろう。

 首都、国旗、言語、人種といった国々の事情を覚える必要はない。 既に世界は統一国家に属している。 従って国連、アセアン、G7、IMFといった国際組織などは雲散霧消し、国際機関の能力の全ては統一首都に集約された。 大都市たちは名前を変えて――例えば、ロサンゼルスは『43番都市』という具合に――統一首都の統制下にある。 

 貿易は統制貿易だ。 各地の特産物は統一政府の殿方が再配分し、私たちは何一つ不足はない。 21世紀を民主主義の時代だとすると、現在は『民主主義を経た共産主義』、つまり『民主的に選択されて成立した共産主義』といえよう。
 旧ブラジルの大農園では、白人も黒人も一緒になって全裸でカカオを収穫する。 旧シアトルの先端工場では、アングロサクソン系もポリネシア系も全裸に全頭マスクをつけ、それぞれのレーン作業に従事する。 必要な場所に必要な分だけ、各地から生産物が届けられるのだから、通貨は必要ない。 とはいえ想定外に対処する必要から通過の需要はあり、かつての『ドル』に替わって『円』が統一通貨の役割を担っている。

 これらの大きな枠組みを抑えた上で、各地の風土を記憶する。 牝に与えられる選択の自由は限りなく小さいため、有用とはいえないが、それでも『○○番地方の工場では、人力発電(ペダルをこいで発電する)要員がいる』ことや『○○番都市の農園では、牝が鋤を引いて地面を耕す』といった知識は、ないよりはあったほうがいいだろう。

 地理の本分たる地理景観の学習も欠かせない。 山脈、河川、平野、台地すべてが都市に関連付けられた番号を振られており、『○○番台地』『○○番河川』と記憶する。 頭の中が数字だらけになって、こんがらがるだけならまだいい。 すべての情報が無味乾燥になり、自分達の番号制と相俟って、鮮やかなはずの世界が薄暗い灰色に染まってゆくような……。

 地理の教養分野として、認識しておくべきだった旧世紀を悩ませた人口問題や環境汚染は軒並み解決しつつある。 人口問題は生殖機能の壊滅と『人口子宮』の開発、『離牝里親制度』により統制されている。 世界人口を殿方10万、牝10億に定める流れ――所謂『地球10万億人政策』――は今後も維持されるだろう。 環境汚染は電気自動車を筆頭とするオール電化と自然電力により、二酸化炭素やNOX・SOXといった、悪化する要素は摘み取られた。

 例え歪な部分があったとしても、地球全体として考えれば、現世紀のシステムはサステナビリティを備えている。 そのことを様々な角度から学んでいけば、生徒達は自然に気づくはずだ。 性別が牝である自分達が、優秀な殿方に管理されるシステムの意義。 造反有理が是ならば、服従性向にも道理がある。 徹底的に服従する存在を育てる教育は、社会に役立つ人間を育てるという用件を、曲がりなりにも満たしている。

 教える側としては『これらの課題は未来の貴方たちが解決する』というよりも『いろんな課題は解決されつつある』という方が健全だと思う。 機会均等、性差解消、ジェンダー即ち女性の人権を高らかに謳った世界には、哀しいけれど明るい未来に繋がらなかった。 換言すれば、今の時代は、21世紀と比較して遥かに進化した賢いスタイルを維持している、といえるだろう。

 女性が牝となり、人格と尊厳を返上した世界。
 能力に優れた男性が殿方となり、規律と先見をもって導く世界。
 
 生徒たちは、この世界が正しいことを、脳と体の両面で受け入れなくてはいけない。 主要五教科の中で、そういう面から顧みると、私の『社会』が最も酷な科目かもしれない。 女性に価値がない事実に対し、客観的に向き合わなくてはいけないためだ。 

 地理の教育課程は約8週間。 比較的余裕をもって取り組むことができる分野だといえる。
 


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