バースデイ-1
今日は一段と暑い日だった。
六月だというのに太陽は時期早な輝きを見せ、迷惑な事に六月の最高気温を更新し続けていると、無機質なテレビが告げていた。
私は特に気に止めることもなく、人形のようにただ、昨日と同じ日常を繰り返す。
昨日と同じ時間の同じホーム。
定められた日々を意味もなく、意志もなく過ごす無意味な私。
ふと見上げた空は、駅の屋根によって、いびつに切り取られたようにみえた。
狭い空を鳥が優雅に泳いでいる。
小さな体で、小さな自由を噛み締めているようにみえた。
電車の到着を知らせるアナウンスが流れる。
遠くから、地面を揺らしながら電車がやってくる。
私はいびつな空を眺めながら考える。
ああ、そうだ。
私は白線の外に立ち、灰色の地面を蹴る。
ふわりと飛んだ私の耳に、つんざくようなブレーキ音が聞こえた。
まるで自由になった私を、祝福してくれているかのようで嬉しかった。
今日は私が人として初めて生きたバースデイ。