ラブ・アゲインもアリなんです-8
そして、ワッと上がる歓声と共に、垂水が俺の元へ駆け寄って、よくわからないけど4の字固めを掛けてきた。
「いででで! 痛ぇっての、止めろ、垂水!」
もがく俺を、デカイ身体で完全に押さえつける。
「止めるかよ! ちくしょう、オレこないだカノジョと別れたばっかなのに!」
「痛い痛い痛い! ギブ! ギブギブ!」
そう言ってさらに力を込める垂水の顔は、なぜかとても嬉しそうで。
「取手ー、おめでとー。よかったね!」
動けない俺に向かって、おしぼりを投げつけてくる寺田さん達のギャルグループ。
拍手をしてくれたツヨシと仙道さんに続いて、パチパチと手を叩いてくれる、クラスメイト達。
そして、垂水に技を掛けられて痛がる俺を心配そうに見る雅さん。
高校を卒業してはや5年。
長い間憧れていたマドンナが、俺の方を向いてくれた。
しかも、クラスメイトみんながこの結末に喜んでくれている。
女っ気のない高校生活を遅れなかった俺に、遅れてきた青春が、今やって来たのだ。
その事実が嬉しくて、雅さんにニッと笑いかけると、
「好きだー! 雅さーん!!」
と垂水にやられている無様な格好で思いの丈を叫んでいた。