ラブ・アゲインもアリなんです-7
怯えているようにも見える、その不安そうな顔を見ると、守ってあげたいという感情によく似た何かが込み上げてきた。
「俺、ヘタレだからさ。結局告白なんか出来ずに卒業してしまったけど、久しぶりに雅さんに会えて、ああ、やっぱり俺は君が好きだなって思ったよ」
「取手くん……」
「迷惑だったら、はっきり振って? その方が俺もスッパリ諦められるから。……ただ、もし前向きに考えてくれるなら、向こうでも会って欲しい」
そこまで言い終えると、周りのにやけ顔はいつの間にか、心配そうな顔になって俺を見ていた。
当の俺は、存外平気。むしろ、すがすがしい気持ちになったくらいだ。
案ずるより産むが易し。今となっては垂水達の無神経な発言に感謝したい、それほど俺はスッキリしていた。
「取手くん、あのね……」
周りを気にしてか、雅さんはキョロキョロ見渡してから、俺に視線を向けた。
真っ赤な顔。キュッと結んだ唇。そして潤んでいるせいでキラキラ輝く瞳。
振られるかもしれないってのに、こんな時まで俺は雅さんに見惚れていた。
「……あの、友達からでよかったら、是非ともお願いします」
「へ?」
彼女に見惚れていた俺は、絞り出した声を聞き取れず、間抜けにも聞き返す。
「雅さん、今何て……?」
「うん……、あの、いきなりお付き合いとかそういうのは、ちょっぴり照れちゃうから、まずはお友達からって形で仲良くなれたらなって思うんだけど……」
視線を泳がせたり、しきりに髪を触ったり、落ち着かない彼女に、思わず目が見開いていく。
「マジ……で?」
黙って頷く雅さんだったけど、はにかみながら見せてくれた笑顔に、俺は次の瞬間、座っていた煎餅座布団に立ち上がって、
「やったー!!!」
と、店の外にまで聞こえそうな大声を出していた。